(※写真はイメージです/PIXTA)

「国際金融取引」とは何か、答えられますか? 老後に備えて、株式や債券、為替、商品などで資産形成・運用しようと考えている人も少なくないでしょう。これらの手段も国際金融取引の一例です。ビジネスにも個人の資産形成にも有用な「国際金融取引」の基礎知識を見ていきましょう。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

インパクトローンやFX…国際金融取引の具体例

Q3.「国際金融取引には、インパクトローンやFX、デリバティブなどがあります。具体的にどのような取引を行うか、ご存じですか?」

 

⇒A. インパクトローンは、米ドルやユーロなど外貨建てで貸付を行う商品で資金使途に制限がありません。FXは外国為替証拠金取引で、一定の証拠金を元手に、その何倍かの外貨を売買する商品取引のことです。また、デリバティブは、将来の時点における金融商品の売買に関する契約のことをいいます。

 

<解説1>業態別商品

①銀行:預金には外貨普通預金、外貨定期預金など、貸出にはインパクトローンなど、為替には外国為替取引(貿易取引、貿易外取引、外貨両替など)があります。

 

②証券会社:外国株式、外貨建て債券、FX(外国為替証拠金取引)などがあります。

 

③保険会社:生命保険会社では外貨建て生命保険など、損害保険会社では海上保険、貿易保険(※注3)などがあります。

 

※注3 貿易保険:輸入者の信用リスクや輸入国のカントリーリスクにより発生する輸出者の被害を補填する保険制度で、株式会社日本貿易保険が担当しています。

 

<解説2>デリバティブ及びM&A

(1)デリバティブ(担当:銀行や証券会社など)

デリバティブ(DERIVATIVE)とは、金融派生商品のことです。一般の金融取引は、現時点で商品を売買する契約であるのに対して、金融派生商品は、将来の時点における商品の売買に関する契約です。

 

商品には、金融先物(為替予約〔※注4〕、オプション取引〔※注5〕、スワップ取引〔※注6〕)、商品先物(金、白金、銀、パラジウム、原油、ゴムトウモロコシ、大豆、小豆、粗糖)があります。

 

※注4 為替予約:先物為替相場に関する契約をいいます。

※注5 オプション取引:ある商品を将来のある期日(満期日)までに、その時の市場価格に関係なくあらかじめ決めた特定の価格で買う権利または売る権利を売買できる取引です。

※注6 スワップ取引:直物の買いと先物の売り、逆に直物の売りと先物の買いなど、異なる時点の売買を同金額で同時に行う取引です。

 

(2)M&A:(担当:銀行や証券会社など)

M&Aとは、合併を意味するMERGERと買収を意味するACQUISITIONの略で、一般的に企業買収と言われています。企業を買うということは、相手企業の株式を購入して経営権を握ることですが、すべての株式を手に入れる必要はありません。過半数を取得すれば取締役を選任できるので、実質的に経営権を握ることができます。

 

米国を中心に海外では、古くからM&Aを事業再構築や活性化の起爆剤として活用されてきましたが、日本ではあまり活用されませんでした。それが、今では経営戦略の1つになっています。主な目的は、市場開拓、競争力強化、技術革新、グローバル化対応などです。

 

[図表3]M&Aのメリット

 

国内市場が成熟し、かつ人口減少が見込まれる日本企業にとって、今後も成長し続けるには国外に進出せざるを得ません。つまり、M&Aは自然の成り行きと言っても過言ではないのです。

 

 

大村 博

FXソリューションズ代表、外国為替コンサルタント

 

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