(※写真はイメージです/PIXTA)

お金なくして生活していくことはできません。でも、お金について実はよく知らない人も多いのではないでしょうか。たとえば「日本円が安全資産と言われてきたワケは?」「通貨名にドルがつく国が多いのはなぜ?」と聞かれたら、答えられますか。ここでは世界三大通貨の知識・雑学をご紹介します。※本連載は、大村博氏の著書『Q&Aでサクサクわかる 金融の世界』(ビジネス教育出版社)より一部を抜粋・再編集したものです。

日本円が「安全資産」と言われる根拠は?

Q1.「外国為替市場では、常に円高・円安が話題になります。現在、日本円は国際的に安全・安心な資産と言われていますが、その根拠は何なのでしょうか?」

 

⇒A. その理由として、投資家が日本円を自由に取引ができること、日本の対外資産が潤沢であること、民族や宗教の紛争・対立がなく政情が安定していること、日本のおもてなし文化が世界的に高い評価を得ていることなどが挙げられます。

日本円を「強い通貨」たらしめる要因

<解説1>国が破綻する恐れは非常に低い

 

国際金融市場では、通貨の発行国が取引に規制を設けず、投資家が自由に取引できることが、その通貨への信頼につながります。それは、株価の急落など市場が混乱した際、売り買いしやすいかが重要なポイントになるからです。現在、米ドルやユーロ、日本円、英ポンド、スイスフランなどが比較的安全・安心な通貨と見做されていますが、そのなかでも、日本円とスイスフランは「安全通貨(資産)」、「逃避通貨」と呼ばれ、独特の地位を占めています。

 

また、日本の政府や企業、個人が海外に持つ対外資産が、国内企業による海外企業の買収などにより、2018年末時点で1,018兆円と過去最高を更新する一方、対外債務は676兆円に過ぎません。その結果、資産から債務を差し引いた対外純資産は341兆円となり、これは28年連続で世界最大の純債権国を意味します。こうした現状に鑑みれば、国が破綻する恐れは非常に低いと考えられます。

 

<解説2>安定した政情とおもてなし文化

 

民族や宗教の紛争・対立がなく、政情が安定していることも重要な要因です。しかも、2千年以上にわたって国家を営んできました。このことは、世界史上の奇跡と言っても過言ではないのです。日本の歴史がどれだけ長いかは、他の国と比較すると一目瞭然です。たとえば、日本に次いで長い歴史を持つ国はデンマークですが、そのデンマークでさえ、建国から千数十年と日本の半分以下です。ちなみに第3位は英国で千年未満、米国にいたっては未だ240年に過ぎません。

 

近現代に限らず、本来的に国家は脆弱です。世界史の年表を見ても、200年以内に滅びる国が大半で、5百年以上続いた国は数えるほどしかありません。島国という利点はあるものの、日本は歴史的に見ても極めて特異な存在なのです。

 

文化面でも、おもてなしを中心に世界的に高い評価を受けています。たとえば、米国の大手旅行雑誌『トラベル+レジャー』の人気観光都市ランキング・トップ10に京都市は、2014年と2015年に2年連続で世界1位に選ばれています。この順位付けは、文化や芸術、食事、風景など、さまざまな項目の総合評価で行われており、京都や東京を要する日本は間違いなく世界のトップクラスと言えます。

 

ほかにも、下記の優位性を指摘することができます。

 

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【日本のアドバンテージ】

①東京外国為替市場は、ロンドン市場、ニューヨーク市場と並び、世界三大市場の一つであり、大きな取引量を誇っています。

 

②日本の「モノづくり」には定評があり、自動車や電子機器だけでなく、農産物や食品、化粧品が海外で人気になっています。

 

③通貨が高くなる(強くなる)ということは、国の価値が上がることであり、強い円は日本の国益です。

 

④「危機に備えて外貨資産を保有せよ」と言う人がいますが、欧米人のように外国を転々とする日本人はごく少数なので、為替リスクを取らず、円で持っているのがベストです。

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Q&Aでサクサクわかる 金融の世界

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大村 博

ビジネス教育出版社

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