ユーロを法定通貨とする「EU非加盟国」は6ヵ国
Q3.「欧州単一通貨ユーロは、ユーロ圏19ヵ国の通貨ですが、他にもヨーロッパ諸国でユーロを使用している国家があります。どの国だか、ご存知ですか?」
⇒A. モナコ、バチカン、サンマリノ、アンドラ、モンテネグロ、コソボの6ヵ国でユーロが使われています。
ユーロは「世界第2位のシェア」を誇る通貨だが…
<解説1>EU非加盟の6ヵ国が参加
ユーロとは、欧州連合(EU)の主要国が採用している共通通貨のことで、1999年に導入されました。ユーロは、米ドルに次ぐ高い流通性を持っているため、重要な通貨の地位を有し、第2の基軸通貨と呼ばれています。1993年のマーストリヒト条約により単一通貨制度が採用され、まず1999年にドイツやフランス、イタリアなど主要国11ヵ国でユーロ圏が発足し、その後、ギリシャなどが参加。現在、EU加盟国27ヵ国(英国が離脱)のうち19ヵ国が参加しています。
加盟国以外でも6ヵ国がユーロを法定通貨にしていますが、中央銀行である欧州中央銀行(ECB)に代表を送ることはできません。
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【ユーロを法定通貨にしている国】
●EU加盟国:ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、オランダ、ベルギー、ルクセンブルグ、オーストリア、アイルランド、フィンランド、ギリシャ、マルタ、キプロス、エストニア、ラトビア、スロベニア、スロバキア、リトアニア
以上19ヵ国
●加盟国以外:アンドラ、サンマリノ、コソボ、モンテネグロ、モナコ、バチカン
以上6ヵ国
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なお非参加は、デンマーク、スウェーデン、チェコ、ハンガリー、ブルガリア、ポーランド、ルーマニア、クロアチアの8ヵ国です。
<解説2>財政政策の主権が各国に残されている
欧州連合に加盟し、かつ通貨ユーロを導入している諸国で形成する経済圏のことをユーロ圏と言います。別にユーロゾーン、ユーロランドとも言われ、域内人口は約3億3千万人です。当然、ユーロ圏のすべての国が自国通貨を放棄して、ユーロを導入しています。
導入されたのは1999年なので、約20年経ちますが、問題がすべて解消された訳ではありません。特に発足当時から問題視されていた、物価の安定など金融政策の運営を欧州中央銀行(ECB)に一任する一方で、財政政策の主権を各国に残すという枠組みが手つかずのまま残されています。つまり、米国や英国、日本のように、独立的な金融政策を打ち出せない状態が、ユーロ導入以来続いているわけです。
たとえば、ユーロ加盟国は財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑えることが求められていますが、違反しても厳しいルールや罰則はありません。そのため財政が悪化しているにもかかわらずモラルハザード(倫理の欠如)が起こる、あるいは一国の債務不履行(デフォルト)の影響が参加国全体に波及するといったリスクがあります。
実際に2009年のギリシャの過大な債務が発覚した後、経済基盤が弱いポルトガルやイタリア、スペインなどに飛び火し、欧州債務危機が起きたのは記憶に新しいところです。こうした通貨同盟が抱える矛盾が表面化したことにより、その存在を危ぶむ意見も出されましたが、欧州統合の理念のもとに、ヒト・モノ・サービス・資本の自由な移動などによって域内の経済発展に結び付ける努力が続けられています。
今後、ユーロを導入する国が増えるかどうかですが、現段階で正式にユーロ導入の予定を表明しているのはルーマニアだけです。ほかにはポーランドとチェコが、次の候補とみられています。
大村 博
FXソリューションズ 代表、外国為替コンサルタント