※画像はイメージです/PIXTA

親が所有している土地を子供が無償で借りて使用するケースがあります。このように無償で貸し借りすることを「使用貸借」といいます。今回は土地の使用貸借で借主あるいは貸主が死亡した際の税務について考えていきます。

相続税節税のため使用貸借から通常の賃貸借契約に変更

相続税を計算するもととなる土地の相続税評価額は、使用貸借では自用地価格と同額であり、通常の賃貸借では自用地価格から借地権を差し引きます。つまり、借主が貸主に地代を支払う通常の賃貸借契約にする方が相続税評価額は低くなり、相続税が節税できます。

 

次の例で、同じ土地を使用貸借として評価した場合と通常の賃貸借として評価した場合の相続税評価額を比較します。

 

【事例】

父が所有する土地に長男が家を建てて居住している場合、この土地の相続税評価額を求めます。この土地の自用地価格(賃貸せずに自分自身で使用する場合の評価額)は5,000万円とし、借地権割合は70%とします。

 

使用貸借:

この土地の相続税評価額は自用地価格と同じ5,000万円です。

賃貸借:

自用地価格から借主が持つ借地権を差し引きます。

相続税評価額=5,000万円×(1-70%)=1,500万円

 

上記の例では、通常の賃貸借にすることで評価額を70%引き下げることができます。

 

なお、通常の賃貸借契約にする場合は、相場より安い賃料にならないように注意が必要です。たとえば、賃料が固定資産税にあたる程度の金額であれば使用貸借とみなされます。

 

使用貸借から通常の賃貸借契約に変更したい場合は、相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

 

■まとめ

不動産が絡む税金は複雑

 

ここまで、土地の使用貸借で借主あるいは貸主が死亡した場合の相続の考え方についてお伝えしました。

 

借主が亡くなった場合は、使用貸借は相続の対象とはなりません。しかし、例外も認められていて、ただちに貸主に土地を返さなければならないわけではありません。貸主が亡くなった場合は、使用貸借は継続します。

 

使用貸借している土地の相続税評価額は自用地価格と同額であり、通常の賃貸借で借地権相当額が差し引かれるのとは異なります。相続税評価額を引き下げるために使用貸借をやめて通常の賃貸借にすることもできますが、その場合は相続税に詳しい税理士に相談することをおすすめします。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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