地主が青色申告をすることで得られる「6つの特典」
Q
私は今アパートの建築をしており、まもなく完成の予定です。年間の所得は500万円を見込んでおります。青色申告をすると有利だと聞きましたが、どんな利点があるのでしょうか。
A
青色申告にすると家族従業員に対し労務の対価として給与を支払うことができることなど、数多くの特典があります。
◆解説◆
青色申告をすることによって、下記の特典を受けることができます。したがって白色申告よりも有利になるといえます。
(1)青色事業専従者の給与が必要経費として認められます。
青色申告者と生計を一にしている15歳以上の親族で、もっぱらその青色申告者の経営する事業に従事している人に対する給与は、それが届出書に記載された金額の範囲内で労務の対価として相当であると認められる金額である限り、必要経費となります。
(2)青色申告特別控除が受けられます。
① 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、取引を複式簿記により記帳し貸借対照表を損益計算書とともに確定申告書に添付して期限内申告をした場合に限り、青色申告特別控除は最高55万円(青色申告控特別控除を控除する前の不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が限度。②において同じ)となります。
② 上記①の要件を満たす者が、その年分の確定申告書等を提出期限までに電子申告(e-Tax)を使用して行うか、帳簿の電磁的記録の備え付け及び保存を行っているかのいずれかの場合には、青色申告特別控除は最高65万円となります。
③ 上記①②以外の青色申告者については、不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の合計額を限度として、青色申告特別控除は最高10万円となります。
(3)減価償却費計算の特例があります。
特定の減価償却資産に対し、特別償却や割増償却を行うことができます。
(4)引当金等の必要経費算入が認められます。
事業所得の金額の計算上、貸倒引当金等のうち、繰入限度額に達するまでの金額が必要経費に算入されます。
(5)純損失が出た場合には3年間繰越して控除または、前年に繰戻して所得税の還付を受けることができます。
(6)更正の制限
帳簿の調査に基づかない推計課税によって更正を受けることはありません。また、更正を受ける場合には、更正通知書にその理由が付記されます。
※不動産貸付けについては事業的規模がなければ(1)、(2)①②の適用は受けられません(事業所得が生じる事業を営んでいる場合は事業的規模を満たしていることになります)。
(注)【電子帳簿保存】
適用を受けるには、電子帳簿保存を開始する日の3ヵ月前の日までに申請書を提出して税務署長の承認を受けます(令和4年分から承認制度は廃止され、届出書の提出となります)。原則として課税期間の途中からの適用は不可です。新たに業務を開始した者についてはその開始した日から2月を経過する日までに提出すればその年分から適用できます。
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