(※写真はイメージです/PIXTA)

「東大合格させるには、早期教育が必要ですか?」――受験生から「キムタツ」の愛称で親しまれる筆者は、かつて英語教諭として灘校や西大和学園に勤め、500人以上の教え子を東大に合格させました。その経歴から、作家になった現在も、全国の教員や保護者から子どもの学習に関する相談が多く寄せられます。筆者の回答を見ていきましょう。※本連載は、木村達哉氏の著書『「東大に入る子」が実践する勉強の真実』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

「これをしないとXXできない」にダマされてはいけない

早期教育が必要かと問われれば、焦る必要はないと答えます。

 

世の中のすべての教材や塾に共通するのが、強迫観念に訴えかけてくるということです。「これをしないとXXできない」というものです。進学校の生徒が多く行っている塾などでも「うちに来ないと東大には受からない」などと言って生徒を集めています。強迫商法ですね。

 

教育界ではこの強迫商法がまかり通っていますが、教育のプロであれば誰でも「そんなことはありえない」と強く言うことでしょう。また、灘校に来なくても、公立の中学や高校でも、きちんと勉強していける生徒は東大に受かります。「~しないと受からない」などという宣伝文句があれば、真っ先に疑いましょう。したがって本稿でもそういったことは書いていません。

 

これをしないと合格しない、これをすれば合格するというようなものは存在しません。安定した勉強体質・記憶体質を長期のスパンで身につけること、そして心身が健康であることが大切なのであって、何か一つのことをいち早くできるようにすれば合格するなどということはありえません。

「英語は早期教育しない身につかない」はウソ

英語の早期教育も同じです。幼い頃から英語の勉強をやっていないと身につかない、音が聞き取れないなどは、ありえません。

 

私は中学から英語の勉強を始めました。他の多くの英語の専門家は幼少時から英語なんて勉強していません。Googleの元副社長の村上憲郎(むらかみのりお)さんも、社会人になって初めて英語をちゃんと勉強したとおっしゃっています。それでも世界を股(また)にかけたビジネスをされているのです。

 

灘校に入学する生徒も、中学生になってから英語の勉強を本格的に始める子が圧倒的多数です。灘中学校の受験に英語が必要なく、受験科目以外に時間を割いている余裕がないことが理由でしょう。しかし、高校3年生にもなれば、NADA TEDと私が呼んでいるスピーチで堂々と英語でプレゼンをしたり、アメリカの学生とディベートで戦えたりします。

 

冷静になるとわかることです。たかが英語の学習に遅すぎるということはないのです。世の中の20億人もの人が英語を話しているのですよ。

 

もし発音がネイティブに近くて、雑談が英語でできることが英語力のゴールだとするのなら、アメリカで英語をネイティブの発音でよどみなく話す人は、皆が東大の受験英語でも満点とれてしまうということになりますが、もちろんそうではありません。

 

早期教育をする理由はいろいろあるとは思いますし、否定はしませんが、しなかったからといって東大に合格できないというものではないのです。子どもが喜んでやっていくような教育であれば問題ないとは思いますが、親が先行して学ばせようとするのは大きな間違いですし、お金の無駄です。

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灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実

灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実

木村 達哉

KADOKAWA

30年を超える指導経験で分かった、東大合格者を出す家庭の共通点とは? 勉強の意味を知り、正しい勉強のやり方を知っていれば、どんな子でも東大は合格できる! 難関大学合格のために欠かせない「勉強体質」を家庭でいか…

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