(※写真はイメージです/PIXTA)

「東大合格させるには、早期教育が必要ですか?」――受験生から「キムタツ」の愛称で親しまれる筆者は、かつて英語教諭として灘校や西大和学園に勤め、500人以上の教え子を東大に合格させました。その経歴から、作家になった現在も、全国の教員や保護者から子どもの学習に関する相談が多く寄せられます。筆者の回答を見ていきましょう。※本連載は、木村達哉氏の著書『「東大に入る子」が実践する勉強の真実』(KADOKAWA)より一部を抜粋・再編集したものです。

小学生の英語学習…「早めに英検を受けさせるべき?」

小学生向けの塾を経営されている先生方から相談を受けます。小学校の間に何をさせておけばいいでしょうかという相談です。

 

小学生向けの英語といえば英検ですね。英検の級をとれば英語ができると勘違いしている人もたくさんいらっしゃいます。「うちの子、英検2級とったのよ!」とフェイスブックなどに書いて「いいね!」をもらうような人です。

 

言うまでもないですが、英検2級をとっても一生通用する英語力が身についたわけではありません。英検2級ぐらいでは、海外に行ってもまったく英語は使えません。そして勉強し続けなければ、あっという間に英検3級以下のレベルにまで落ちていきます。

 

勉強し続けることが前提で英検をとるなら問題ありません。でも人より早くその級をとること自体には、ほとんど意味がありません。そのうち、周りも同じレベルに到達してきます。受験で必要な場合もありますので、その場合には取得したほうがいいですが。過去問を思いきりやっていれば、確実に英検の級は取得できますからね(問題の多くは使い回しなので、旺文社の問題集をひたすらやっていれば同じ問題が出ます)。

 

高額のアニメの英語教材を買うことも同じです。子どもはアニメが好きですので、その商品には食いついてくるかもしれませんが、それと英語力向上とはかけらほどの関係もありません。

元灘校名物教師・キムタツならこう教える

私が小学校の英語教育を担当するなら、小学校の間には英語の正しい勉強法を徹底して身につけさせます。そのうえで、自宅で勉強する習慣を身につけてもらいます。

 

そして日本語の力を身につけるべく、読書習慣を身につけてもらう取り組みをします。母国語である日本語の土台がぐらついている状態で、外国語など積み上げることはできないからです。せめて1年間に50冊程度は最低でも読むような習慣を身につけて、学力全体の土台を作ります。それによって英語力だけでなく、それ以外の教科・科目の勉強の土台ができあがります。読むものはなんでもいいのです。できるだけ幅広いフィールドの読書をしたほうがいいのですが。

 

そしてその活動をしながら、身のまわりの単語を覚えたり、英語のルールを学んだりしながら、英語の文章が読めるようにしてもらいます。さらには身のまわりのことであれば、英語で書ける・話せるようになってもらいます。そうなれば、リスニング力についてはトレーニングの時間が取れれば間違いなく伸びてきます。

 

皆さんは次の日本語を英語になおせますか。ちりとり・ほうき・ペットボトル・鬼ごっこ・ビニール袋・黒板消し・教頭先生・保健室の先生…こういった子どもたちの身のまわりのものをすべて英語で言えるようにしてあげるでしょう。そうすると子どもたちは面白がって「ではこれは何というのだろう」と興味を持ちます。自分で調べて覚え始めます。もちろん私は覚え方も教えてあげるでしょう。それがまた他の教科・科目に好影響を及ぼすはずです。

 

英検は保護者が望めば受検させると思いますけれども、そこに合格させるのはそれほど大変なことではないので、あっさりとクリアし、もっと高尚なことに英語を使えるように指導するでしょう。そのためには日本語の勉強や社会の勉強が欠かせません。この社会の勉強の中には医療のこととか政治のこととか宇宙のこととか、さまざまなことが含まれます。そういったことを日本語で学び、少しずつ英語力を日本語力に近づけることをやっていくはずです。

 

英語の力を身につけるのはそれほど難しいことではありませんが、小学生が自分でそれをやるのは簡単ではありません。週1回であっても、指導者が学習をチェックする取り組みをするのは大切で、そのためなら英語のスクールに行くのも効果があると思います。英検などは単なる一里塚でしかありません。一里塚として利用するのであれば問題ありません。

 

小学校から真面目に英語の勉強をやれば、かなり英語力は高くなります。が、正しい方法でやらないと意味がありません。それに英語力だけが上がっても意味がありません。大切なのは英語で何をするのかであって、通訳者であっても何でも話せるわけではないのです。自分がどういう分野で生きていくのかによって、使う英語が異なるのですから、英語よりもそちらの勉強を、そして読書をしておくことが大切だというのはおわかりいただけるのではないでしょうか。そして東大はそういった勉強をしてきた人を求めているのです。

 

 

木村 達哉

作家、元英語教師

 

 

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木村 達哉

KADOKAWA

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