(※写真はイメージです/PIXTA)

「人生100年時代」といわれています。定年後の避けては通れない課題は「お金」「健康」「生きがい」です。老後の長い時間をどう過ごすのか。あなたは老後にやることはありますか。定年後のプランは長期的な視点で考えたほうがいい理由とは。本連載は長尾義弘・福岡武彦著『定年の教科書 お金 健康 生きがい』(河出書房新社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

定年後のあり余る時間をどう使うか

■定年後のプランは「長期的な視点」で考える

 

第二の人生は、どうやって歩いていけばいいでしょう。

 

定年後のプランって考えていますか。「趣味をしたいな」「旅行に行こうかな」「なかなか会えなかった友人に会いたいな」「習い事でも始めてみようか」など、漠然と思い描いている人が多いと思います。

 

ここ、要注意です。

 

定年退職後にやりたいことのアンケートで、必ずトップにあがるのが「旅行」です。

 

しかし、旅行に行くとしても、お金がかかります。趣味を優先するあまり、老後資金がなくなっては困ります。

 

「お金のプランニング」と「やりたいことのプランニング」を見比べ、バランスを取る必要があります。

 

また、1年じゅう旅行をしているわけではありません。海外旅行や国内旅行なら10日間から、長くても1か月程度でしょう。世界一周クルージングに出かけたとしても期間は半年です。

 

でも、定年後はくらべものにならないほど長いのです。やりたいことが1か月で終わってしまったら、残りの時間はどうしますか。

 

たしかに、退職後のお疲れさま旅行はいい思い出づくりになりますが、もっと長期的なプランニングが必要なのです。

 

友だちだって、毎日はつき合ってくれません。仕事仲間や後輩を誘っても、応じてくれるのは最初だけです。あまり頻繁に誘うと、ウザいと思われるのがオチです。こうなると、暇をもてあましてしまいます。

 

私がよく利用する図書館は朝10時に開くのですが、開館前から60代、70代とおぼしき男性が並んでいます。午前中の図書館には、老齢の男性が多くいます。

 

平日の大型ショッピングセンターも同様です。退職者らしき男性が、閑散としたスペースの中で所在なさげにソファに座っています。

 

平日のスポーツクラブなど、高齢の男女がひしめいて、まさに老人クラブ。更衣室ではほとんど挨拶も交わさず、黙々とトレーニングマシンに向かっているか、マッサージチェアに座ってずっと新聞を読んでいます。もちろん健康のためもあるでしょうが、ほかにいく場所がないのです。

 

「濡れ落ち葉」になる人もいます。

 

濡れ落ち葉とは、濡れた枯れ葉が地面から離れないことです。定年後にすることのなくなった亭主が、いつも妻から離れない姿を揶揄した言葉です。

 

妻が買い物や散歩に出かけようとすると、「オレも」とついていく。一日じゅうベッタリまとわりつかれれば、妻も鬱陶しく感じます。

 

それをずっと続けていると、熟年離婚ということにもなりかねません。いくら仲がよくても、それぞれの時間は必要です。

 

ただし、あまりにも暇だからといって、ギャンブルやフーゾクに走ってはいけません。老後資金を減らすハメになります。

 

厚生労働省の「人口動態統計月報年計」(平成30年)を見ると、離婚の総数は若干減っています。しかし、婚姻期間が25年以上のカップル、いわゆる熟年世代に限ると上昇傾向にあります。

 

次ページ定年後に必要な「きょういく」と「きょうよう」
定年の教科書 お金 健康 生きがい

定年の教科書 お金 健康 生きがい

長尾 義弘 福岡 武彦

河出書房新社

「人生100年時代」といわれています。22歳から65歳まで現役で働いていた時間よりも、定年後の時間のほうが長いのです。第二の人生を余生などと思っていると、大変なことになります。 この長い時間を生きるのに、年金だけの「…

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