フランチャイズの失敗要因…具体的な4つのケース
一般的な起業では、業種にもよりますが5年生存率は15%程度とされています。それがフランチャイズの場合は65%になります。すでにうまくいっている本部のビジネスモデルやブランドをそのまま利用するわけですから、当然普通に起業するよりも成功率が高くなります。
「35%は失敗する」と言い換えることもできますが、この部分は自分の努力次第でコントロールできるところです。例えば成功率が高そうなフランチャイズ本部を選ぶ、いざはじまってから自分のできる範囲の営業努力をする、などです。
具体的にフランチャイズ投資を行う際のリスク、すなわち失敗要因を見ていきましょう。
①立地を外す
店舗型ビジネスのフランチャイズに加盟する場合は立地が非常に重要です。そのフランチャイズグループ全体は儲けていたとしても、自分の店が儲けられるかどうか、というのは立地に大きく左右されるからです。
したがって、集客できないような立地に出店してしまう、というのは主要なリスクの一つとなります。
②有能なスタッフが集まらない
コンビニのフランチャイズなどは自分が店長としてフル回転する、といったことも珍しくないですが、それでは単なる「フランチャイズ起業」です。もちろんそういうやり方も悪くはありませんが、本記事の主旨は投資ですから、基本的には店は誰かに任せて、自分の現場仕事は最低限にする前提で考えます。
そう考えたとき、責任者に能力がないというのは致命的です。必要な能力は業種によって変わってきますが、収益額とその責任者の力がある程度相関するのは間違いありません。
③ビジネスモデルが陳腐化する
わかりやすいのはタピオカの例です。タピオカミルクティーの販売というビジネスは2019年~2020年に大流行しましたが、2020年末の段階ではすでに下火となっています。
もちろん、勝ち組タピオカ屋オーナーは、タピオカブームが一時的なものであることなどわかっていて、ブームが続いている短期間のうちに初期費用等をすべて回収し利益を出すプランで出店しています。しかし、それを読めずに2019年後半以降に大きな資金を使って1からタピオカ屋をはじめてしまった場合、苦戦するのは目に見えています。
タピオカはわかりやすい例ですが、こういったビジネスモデルそのものの問題で稼げなくなるというのはよくあることで、他にはエステサロンの例などが挙げられます。
もともとエステの目的と言うのは「美顔」と「ダイエット」の2つがありました。しかし近年はこのうち「ダイエット」という目的を達成する手段がスポーツジムに置き換わっています。以前は痩身エステというものがたくさんありましたが、結局それでは十分な結果が出ない。痩せるためには運動と食事管理が必要だ、と消費者が気づいた結果、その需要がスポーツジムに移ったのです。
このような需要の変化が起きたとき、株式投資ならば投資銘柄を変えることができます。あるいはフランチャイズ以外の起業、つまり自分のオリジナルのビジネスであればなんらかの対策を打てます。エステであるなら痩身エステは辞めて美顔に特化するとか、思い切ってパーソナルジム的な要素を取り入れてみるなどです。
しかしフランチャイズの場合は、ビジネスモデルは本部が決めることなので自分の意思でこういった調整はできません。そして大規模なフランチャイズほどフットワークは重くなります。
このような市場の変化に自分自身で対応できないというのがフランチャイズの持つリスクの一つです。
④世の中の情勢の影響を受ける
コロナ騒動などがまさにこの例です。飲食店経営をはじめたらコロナウイルスの感染拡大でまったく集客できなくなった、というお店は少なくないでしょう。
コロナウイルスに限らず、こういった外部要因の影響を受けることはよくあります。大規模なものだけで考えても2008年のリーマンショックなど、10年スパンで見れば自分にはどうしようもない不況などは起こるものです。
●コントロールできないリスクは少ない
さて、①「立地」、②「スタッフ」、③「ビジネスモデル」、④「世間の情勢」という4つのリスクを紹介しましたが、このうちどうしたって自分でコントロールできないというのは④だけです。他の3つに関しては、多かれ少なかれ努力の余地があります。
先ほどフランチャイズの5年生存率は65%と書きました。これを100%にすることはできないにしても、70%、80%を目指していくことは可能である、というのがフランチャイズ投資・起業のポイントです。
余剰資金を預けるだけであとは勝手にやってほしい、という人はインデックス投資などの方が良いかもしれませんが、自分で戦略を考えることができて、それによって大きなリターンを得たいというのであればフランチャイズ投資がぴったりといえます。
また、何か別の事業を持っている会社が新規事業としてやる場合も、すでにテンプレートがあり、かつメイン事業で培った経営ノウハウやビジネスノウハウを利用して伸ばしやすいという意味でフランチャイズはおすすめです。
古川 暁
ロータス・インターナショナル株式会社 代表取締役
公益社団法人日本証券アナリスト協会 検定会員
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