「あの人たちはレベル低い」と非難…知られざる病院の内部事情 (※写真はイメージです/PIXTA)

コロナの影響により、経営状態が悪化している医療機関が出てきている。今後は病院の統廃合や運営の引継ぎが相次ぐ可能性もあるだろう。筆者がお手伝いしている病院は、まさに他の医療法人から経営を引き継いだ施設で、運営を改善する取り組みを進めている真っ最中だという。知られざる病院の内部事情を聞いた。

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事業譲渡で「別の医療法人の病院」を引き継いだが…

筆者が事務長を務めている磐城中央病院はもともと、地域の別の医療法人が運営していた施設でした。当然、ときわ会グループの施設になる前から勤務しているスタッフもいます。そのため、同じ施設内でも「旧法人の人」と「ときわ会グループの人」とが対立しているように考える人がいます。もともと勤務していた方々は自分たちがどうなってしまうか心配でしたでしょうし、「自分たちは買われた身ですから…」という方もいます。事業譲渡にはついて回る話なのかもしれませんが、どうしていくのが良いのでしょうか。

 

筆者としては、当たり前のようですが、同じ立場に立ち、自分も一緒になって汗をかくことが大切だと考えます。

 

磐城中央病院の運営をどう良くしていくかということは、グループにとって重要な課題です。しかしこれまで考えられてきた策の多くは、外部の視点に基づいたもので、磐城中央病院の視点を欠いていました。

 

筆者は昨年度末まで常磐病院に所属していました。常磐病院として磐城中央病院をどう応援していくかを話し合う場がグループとして設けられており、筆者も参加していました。

 

常磐病院からは院長、事務部長と筆者が参加していました。当時は常磐病院の事務部副部長という立場だったため、常磐病院側の視点から、磐城中央病院を良くするためにどうするべきかを考えていました。

 

常磐病院などと連携しながら、磐城中央病院内で現場を走り回る人が必要だという話はずっと出ていましたが、具体的に誰がその役割を担うのかという問題は宙に浮いていました。その話し合いの場に、磐城中央病院の事務スタッフは呼ばれていませんでした。

運営を改善しようにも「現場の推進役」が動けない状態

磐城中央病院の事務スタッフは当時、旧法人の頃から勤務している方がほとんどでした。当時の事務長も同様です。「旧法人の人」という見方をされ、遠慮する気持ちもあり、グループ内で磐城中央病院としての主張をすることは難しかったと思います。

 

病院の運営を担うのは事務スタッフです。グループとしての運営という視点から現場の動きを調整していくのも、事務スタッフの担うところです。このような重要な役割を担っている事務スタッフが、外部の視点だけで考えられた策を示され、遠慮もあって自分たちの意見を主張しきれず、押しつけられる形になってしまう。一緒に手を動かしてくれるわけでもなく、対応しきれなかった場合には「あの人たちは何もわかっていない、レベルが低い」「言った通りにやれば良くなるのに協力しない」と非難される。後出しじゃんけんのような構図で、苦しかっただろうと思います。

 

旗振り役としての事務スタッフがこうした板挟みにあっている状態で、看護師などの他の職種のスタッフからも、「どこに向かっていけば良いのかわからない」という声が上がっていました。現場スタッフの士気は当然下がり、協力的な関係を作るのがよりいっそう難しくなるという悪循環に陥っていました。

状況を打破するには「同じ立場になれる人」が必要

以前、筆者は、公益財団法人ときわ会の土屋了介顧問(元地方独法神奈川県立病院機構理事長)と、磐城中央病院の現場を案内してもらったことがありました。土屋顧問も筆者も磐城中央病院に入るのは初めてでしたが、現場のスタッフが「また何か言われるのではないか」と萎縮しているような印象を受けました。上から目線で一方的に押しつけられるものが多かったのであれば、そんな雰囲気になるのも無理もありません。

 

この状況を変えるには、磐城中央病院に籍を置く形で事務スタッフが入り、同じ立場に立って改善に取り組むのが一番良かったのだと思います。実際に筆者が磐城中央病院に配属されたことで、このことに気づきました。

 

旧法人のときから勤務している事務スタッフの中には、磐城中央病院で勤務している医師と気兼ねなく話せたり、設備や関係業者のことをよくわかっていたりなど、心強い方がいます。運営を良くしたいという思いが強く、新しい取り組みにも前向きです。職域接種の対応の一部を手伝うという話が出たときには、外から話を聞いていたイメージでは「それはウチではちょっと…」という反応が返ってくるのではと思っていましたが、実際は非常に前向きにスタートしています。

 

先日は、同じ立場に立ってくれる人がいなかったことを垣間見るようなエピソードがありました。

 

現在は職域接種の準備を進めていて、その中で常磐病院のスタッフと一緒に打ち合わせに入る場面がありました。磐城中央病院が対応することになる案件でしたが、磐城中央病院の意見が汲み取られることなく進んでいた部分がありました。あたかも「磐城中央病院は言われた通りに人だけ揃えれば良いのだ」というような進め方であり、筆者はやや厳しい口調で意見を返したことがありました。

 

その場に居合わせた、旧法人から勤務していたスタッフ2名が、どちらも後から同じようなことを筆者に話してくれました。「常磐病院で働いていた人が、磐城中央病院側の立場になって、常磐病院のスタッフにあのように言ってくれるのかと感動した」ということでした。「これなら状況が変わるかもしれないと思った」とも言います。これまで磐城中央病院側に立った発言はほとんどなかったということが、このことから感じられました。

「同じ立場に立ち、汗をかくこと」で信頼関係を構築

そんな中でも、現場で一緒に手を動かしながら、磐城中央病院の応援をしている事務スタッフはいます。ときわ会グループの事務局です。磐城中央病院内に拠点があります。担っている役割が違い、互いに遠慮する部分もありますが、設備関係の整備や玄関での検温対応、周辺の掃除や草刈りなど、何かと現場でフォローに入っています。グループの事務局には、筆者が入職した当時の上司や先輩がいます。筆者は磐城中央病院にすぐに馴染むことができましたが、それはこの方々と一緒に手を動かせたからこそです。

 

やはり現場に入り、一緒に汗をかくことが大切です。職域接種では、自分も現場に入り、ワクチンの充填作業の補助や接種者の誘導、ゴミ袋の取り替えなど、地味な作業ですが一緒になって手を動かしています。「事務長がゴミ袋を変えに行って、仕事してるフリをしてる!」など、冗談を言い合えるようにもなりました。病院の清掃活動も始めました。

 

せっかく仲間になったメンバーです。評論家的な位置にいるのではなく、「困っていることはありませんか?」と、しっかりと話を聞き、実行者として同じ立場に立って信頼関係を作っていければと思っています。

 

 

杉山 宗志

ときわ会グループ

 

 

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ときわ会グループ 

地域の課題設定、解決に取り組むべく、現在は福島県浜通りにて活動中。医療・介護・教育を軸とした事業を展開するときわ会グループに勤務。東京大学工学部建築学科卒業、同大学院工学系研究科建築学専攻修士課程終了。東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム修了。

著者紹介

医療と社会の間に生じる諸問題をガバナンスという視点から研究し、その成果を社会に発信していく特定非営利活動法人「医療ガバナンス研究所」による学会。「官でない公」を体現する次世代の研究者の育成を目的とし、全国の医療従事者が会員として名を連ねている。

著者紹介

連載医療従事者が本音で語る「日本社会」の現状~GGO For Doctor

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