写真:PIXTA

一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏が、フィリピン株式市場の最新トピックスを解説する本レポート。今回焦点を当てるのは「銀行業界」。先進国に比べて遅れが目立ちますが、だからこそ可能性があるといいます。

PSE「流動株式数を増やす施策」実施へ

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フィリピンでワクチン接種が遅れていることに伴い、ムーディーズ・アナリティックスは、フィリピンの2021年の成長率予測を5.3%から4.9%へと再び引き下げました。またフィリピンのインフレ率は6月に4.1%に鈍化してきました。

 

PSE(フィリピン証券取引所)はさらなる市場活性化のために、流動株式数を増やす施策を実施します。現在、最低流動株比率は10%、PSEIインデック銘柄で20%となっていますが、PSEはこの数値を来年から15%、25%にそれぞれ引き上げることを検討しています。

 

しかし、ほとんどのインデック銘柄は、すでに35から45%の流動性で取引されており、この影響を受けるのは、セカンドライナーやサードライナーのプレーヤーです。中小型株の流動性を増やすことで市場を活性化させようということです。

銀行業界「デジタル化の遅れ」に勝機あり

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「PNB銀行(フィリピンナショナルバンク)」がデジタルバンキングを推進することを発表しました。

 

フィリピンの銀行のデジタル化は、まだ先進国と比べて立ち遅れています。逆に言うと、これからのビジネスチャンス、伸びしろが大きく、デジタルビジネスの分野には巨大な未開拓の市場があるのです。ですから、現在HSBCから来たCEOの元、大幅な事業の再構築を推進しているPNBは、デジタル化投資を加速しています。ただ、これはPNBだけではなく、他の銀行にも当てはまることです。

 

そもそもフィリピンでは、現金で給料を受け取っている人が未だに非常に多く、銀行口座を持っていない人がたくさんいるという事実があります。就労者の70%が、現在、銀行口座を持っていないと言われています。一方でスマホの普及率は非常に高く、統計数字はありませんが、筆者の肌感覚としては、持っていない人をほとんど見たことがないという感じです。

 

ですから、銀行のデジタル化とオンライン決済サービスなどその周辺分野というのは、大きな成長機会、ビジネスチャンスがあるフィリピンの中でも、特に目を離せない分野と認識しています。

 

Eコマースの成長も著しく、多くのモバイル・ペイメントやデジタル・ペイメント出現しています。ですから、銀行や大手通信会社からこういったビジネスがスピンアウトし、IPOしてくるといった動きも出てくるのではないかと期待しています。

 

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※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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