写真:PIXTA

新型コロナウイルス感染拡大、ワクチン接種の遅れから、2021年のGDP成長率予測が軒並みダウン予測となっているフィリピン。一方で経済回復の期待感から、株式市場は盛り上がりをみせています。一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングのエグゼクティブディレクターである家村均氏が、フィリピン株式市場の最新トピックスを解説します。

2022年の経済回復を見越して株価上昇

今週のフィリピン株式市場を振り返ってみましょう。

 

まず、調査機関AMROが、フィリピンの2021年のGDP成長率予測を6.9%から6.4%に下方修正しました。フィリピンにおけるワクチン接種の遅れを理由にしています。過去10年間でGDPを3倍に押し上げたフィリピン経済の通年での本格回復は2022年になりそうです。

 

一方で、株価は週単位で見ると、総合指数が51ポイント上昇し、2月16日以来、7000ペソの水準を突破しました。株式市場は、半年先、1年先を見ていますので、株価の本格上昇が始まる兆しです。

 

先週発表されたデータでは、フィリピンの失業率は4月の8.7%から5月は7.7%に縮小しました。また、6月の製造業PMIは2ヵ月連続で縮小した後、50.8に拡大しました。PMIは50以上になると景気が良いことを示します。2ヵ月連続での縮小は4月に厳しい移動制限措置とられたためです。

太陽光発電所からなる「新規REIT」組成を発表

大手ゼネコン「Megawideグループ」の「Citicore」が15の太陽光発電所から構成されるREIT組成を発表しました。フィリピンでは、2つのオフィスビルを中心とする不動産REITが上場していますが、発電所のREITは初です。フィリピンは慢性的に電力が不足していますし、これから本格的な高度成長に入り、人口も1億5000万人に向かっていくフィリピンでは、大きな電力需要が存在しますので、高配当かつ安定的な利回りを確保できるREITになるのではないかと期待されています。

 

今年のフィリピンのIPOはREITが中心になりそうです。ほとんどの大手不動産ディベロッパーが、「アヤラ」、「ダブルドラゴン」の成功を受けてREITの上場を計画しています。具体的には、「ロビンソンランド」、「フィルインベストメント」、「メガワールド」、「SMプライム」などです。競合する大手ディベロッパーがそれぞれの威信をかけて第一号REITを出してきますので、それぞれが保有するトップクラスの資産・物件をREITに組み込んでくると思いますので、魅力ある投資先になるのではないでしょうか。

フィリピン通信業界三番手…積極的サービス拡大

「Glob Telecom」、「PLDT」に続き第3の通信キャリアとして市場参入した「DITO」がサービスエリアを140都市に拡大しました。5G対応にも積極的に取り組んでいます。こういった背景で、現物の5G棟への投資への人気も高まっています。

 

既存2大通信キャリア「PLDT」の株価が年初来1%マイナス、「GLOBE」の株価が7.1%下がっているのは2020年が在宅ワークを中心としたブロードバンドへの需要が大きく高まったのに対し、経済活動が徐々に再開されていく中、その伸びが鈍化してきていることと、上記「DITO」への資金シフトや経済回復基調に伴い、資金がコロナ後に再開が期待される産業へシフトするリバランスが要因と考えられます。

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    ※当記事は、情報提供を目的として、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティングが作成したものです。特定の株式の売買を推奨・勧誘するものではありません。
    ※当記事に基づいて取られた投資行動の結果については、一般社団法人フィリピン・アセットコンサルティング、幻冬舎グループは責任を負いません。
    ※当記事の比較するターゲット株価は、過去あるいは業界のバリュエーション、ディスカウントキャッシュフローなどを組み合わせてABキャピタル証券のプロアナリストが算出した株価を参考にしています。

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