※画像はイメージです/PIXTA

ワクチン接種が進みつつも、まだまだ感染者が減らない新型コロナウイルス。行政からはたびたび「ステイホーム」を要請され、多くの国民はできる範囲で守っているようです。しかし、ステイホームするということは、出会いが減るということであり、その結果、想定以上のスピードで少子化が進展する可能性があるのです。急激すぎる少子高齢化が日本経済にもたらす深刻な影響について、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

ステイホームのメリットとデメリットは、比較しにくい

新型コロナの感染拡大を防ぐため、ステイホームが推奨されています。これにはメリットとデメリットがあり、両方を理解している専門家がいないため、さまざまな議論が展開されています。

 

感染症の専門家は、感染拡大防止の観点からステイホームを推奨するでしょうし、経済の専門家は倒産や失業の増加を防止する観点からステイホームに否定的でしょう。

 

しかも、いずれの専門家も「ステイホームをした場合としなかった場合の感染者の数と失業者の数」を正しく予想することができないわけですから、「大丈夫です」というのは大きなリスクでしょう。どうしても、リスクを強調するほうに発言が引っ張られるのは仕方のないことだと思います。

 

そんななか、どうすべきかを決めるのは政治家の仕事だといえます。両方の話をよく聞き、不完全な情報ながら、ベストと思われる選択をしてくれると信じたいですね。

 

それでも懸念されるのは、経済以外の問題に十分な目配りがなされる保証がないことです。

ステイホームの弊害は「数値化が困難」なものばかり

ステイホームによる倒産や失業といった経済面のデメリットの予想は、不可能ではないかもしれません。しかし、それ以外にもステイホームの弊害は多数あり、いずれも数値化は困難でしょう。たとえば肥満の増加、孤独の増加、認知症の悪化、DVの増加、といった問題が指摘されています。

 

出産数と婚姻数が減少している点も深刻です。少子高齢化は国難であり、長期的には日本国が消滅してしまうかもしれないわけですし、いま少し現実的な話をすれば、労働力不足の問題や年金財政の問題等々が指摘されています。

 

出産数や婚姻数の落ち込みは、後日のリカバーが可能な部分もあるでしょう。人々が新型コロナの収束を待つために出産予定や婚姻予定を後ろ倒しにしただけであれば、収束後に出産や婚姻が大幅に増える可能性はあるからです。

 

しかし、さらに深刻なのは、ステイホームによって出会いが減ることでしょう。出会いが減り、交際が減ることの影響は見えにくいけれども非常に大きく、しかも取り返すことが容易ではないかもしれません。「出会う予定だったふたりが、出会いの時期を新型コロナの収束後に再設定する」といったことはあり得ないからです。

 

出会いが減れば恋愛が減り、デートが減り、結婚が減り、新居を構えるためのさまざまな需要が減ります。さらに深刻なのは、結婚が減ると出産が減ることです。

 

出会いの減少による出産の減少は、タイムラグが長いことを考えると10年間くらい続くかもしれません。ということは、2020年代を通じて少子化が深刻化するかもしれないわけです。出産が減ると、子供用品の需要が減りますが、問題はそれだけではありません。長期的に少子高齢化が進んでしまうのです。

 

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