※画像はイメージです/PIXTA

ワクチン接種が進みつつも、まだまだ感染者が減らない新型コロナウイルス。行政からはたびたび「ステイホーム」を要請され、多くの国民はできる範囲で守っているようです。しかし、ステイホームするということは、出会いが減るということであり、その結果、想定以上のスピードで少子化が進展する可能性があるのです。急激すぎる少子高齢化が日本経済にもたらす深刻な影響について、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

出会いが減り、結婚が減り、出産が減ると、働き手が…

2020年代の出会いが減り、結婚が減り、出産が減ると、2040年代に新しく労働市場に参入する若者の数が減ります。しかし、定年等で労働市場から退出する人数は変わらないので、労働者数の猛烈な減少が生じるかもしれません。

 

高齢化ということは、医療や介護といった労働集約的な需要が増えるということなので、単に働く人の人数が減るというだけではなく、ダブルパンチで労働力不足になるかもしれないわけです。

 

その頃には団塊の世代の多くが永眠しているだろうからなんとかなる、という考え方もあるでしょうが、医療が進歩していることを考えると、意外と多くの団塊の世代が存命で、労働集約的な需要の作り手となっているかもしれません。

 

年金財政も心配です。公的年金制度は、現役世代が高齢者を支えるシステムなので、少子化によって現役労働者数が激減すると、高齢者の年金に大きな影響が出るかもしれないわけです。

 

労働力が足りないということは悪いことばかりではなく、失業の心配がない、等々のメリットもあるわけですが、それも程度の問題でしょう。労働力不足が一定水準を超えると、賃金が上昇してインフレになる可能性もありますから。

出産数が回復しても「新たな問題」が生じる可能性

20年代の出産が大きく落ち込んだとして、新型コロナの影響が消えた後の30年代には出産数が回復するかもしれません。回復しなければまさに国難ですが、回復した場合には別の問題も生じかねません。

 

団塊の世代の成長にともなって小学校が不足し、中学校が不足したわけですが、その逆が起きるかもしれません。

 

20年代に保育園が園児不足で大量に倒産し、30年代に子供の数が戻った時には待機児童が激増する、といったことが起きるかもしれないわけです。その十数年後には大学について同じことが起きるかもしれませんね。

 

政治家におかれては、こうしたことも考慮したうえで、どの程度のステイホームが必要なのか、見定めていただきたいものです。

「感染ゼロ」を目指すことは避けるべき

ちなみに、感染ゼロを目指すべきだという論者を見かけますが、それはぜひ避けるべきです。ひとつには、非常に大きな犠牲を払って国内の感染ゼロを達成したとしても、海外から感染者が入ってくるリスクは消せないからです。

 

もうひとつには、リスクとの折り合いをつけることが必要だからです。自動車は危険ですが、自動車事故をゼロにするために「時速20キロ以上で走れないように自動車を改造すべき」という主張は聞かれません。

 

「インフルエンザで死亡する高齢者をゼロにするために、冬の間はステイホームしよう」という主張も聞かれません。要するに、バランス感覚が大切だ、ということですね。新型コロナについても、同様だと思います。

 

今回は以上です。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、このシリーズはわかりやすさを最優先として書いていますので、細かい所について厳密にいえば不正確だ、という場合もあり得ます。ご理解いただければ幸いです。

 

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

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