3.商事会社法改正による外資規制撤廃
2020年商事会社法改正により、商事会社法に基づく会社について、UAE人の51%以上の出資を要求する外資規制が撤廃されました。また、外国法人の支店に要求されていた現地代理人の選任も不要とされました。その効力発生日は、2020年商事会社法改正を定める法律上は、同法の官報公表後、6ヵ月後、すなわち2021年3月30日とされていましたが、政府報道機関(Emirates News Agency)の報道によると、支店の現地代理人については、4月1日から、また、外資規制の撤廃については、6月1日から効力が発生したとされています※4。
※4 UAEでは、法律上のルールと実際が異なることが少なくありませんが、法律の施行日においてもそれは見られます。
UAEでは、法律の効力発生日が経過したとしても、実際に当局による運用が開始されるかは必ずしも定かではありませんが、現在、少なくともドバイ首長国、アブダビ首長国及びシャルジャ首長国においては、100%保有が許容される事業分野のリスト※5が公表されて、当該リストに掲載された事業分野については、既に運用が開始されている模様です※6。また、支店の現地代理人についても、実際に不要となりました。
ドバイ:https://ded.ae/DED_Files/ded_other/Full_Foreign_Ownership_Activities.pdf
※6 但し、リストに掲載されている事業分野についても、その設立のための要件は必ずしも明らかではないため、設立の検討の際には、当局に確認する必要があります。
4.結語
2020年商事会社法改正により、UAEにおける外資規制が撤廃されたことは、UAEで事業を行う外国企業にとっては、大きなニュースであり、今後フリーゾーン外での外資100%保有会社の設立や、既存会社の外資100%保有化が盛んになることが予想されます。
もっとも、現在、外資100%保有が可能な事業分野はすべてではなく、また、首長国によって、対象事業分野は異なるため、外資100%保有会社の設立を目指す場合、まず拠点の設置場所(首長国)と対象事業の検討を行う必要があります。
森下 真生
西村あさひ法律事務所 カウンセル弁護士