高齢者の「家賃滞納」子どもに連絡をすると…
それと同時に親というのは、いつまで子どもに対する責任を負わなければならないのか、という疑問が頭をもたげる場面にも度々出くわします。「親」というだけで、半永久的に責任を追及されてしまうことも、それはそれで厳しい話だなとも思うのです。
犯罪を犯した人の親がインタビューを受けている姿をテレビなどでよく目にしますが、当人が未成年者ならともかく、すでに成人している場合、果たしてそれは必要なのだろうかという疑問を持たずにはいられません。年老いた親がうなだれて謝罪している姿は、見ていてこちらまで辛くなってしまいます。いったい親は、いつまで親としての責任を追及されるのでしょうか。
逆に高齢の親を、子どもが見放すケースもあります。
年齢的に経済活動を続けることが難しい高齢者が家賃を滞納した場合は、息子さんやお嬢さんにご相談することが多いのですが、連絡をとっても「何年も前に縁を切っているので」と、平気で電話を切られることがあるのです。
高齢の親を施設に入れる選択をする人が増え始めた頃、「まるで姥捨て山だ」とその状況を嘆く空気は少なからずありました。しかし今、親の存在そのものまで「捨てる」ことが横行しているのです。実は高齢の賃借人の家賃滞納に対して、ご家族の協力が得られるのは100件に1件あればいいほうです。
高齢者の場合、支払えないから引越ししなければいけないという認識があっても、引越しに必要な財力はもちろん、そこに向かう気力や体力もありません。だからこそ本来は家族の協力が必要なのですが、現実は厳しいものです。
もちろんそれぞれに「縁を切る」に至った事情はあるのでしょうが、その言葉を聞くたびに、なんとも言えないやるせなさだけが残るのです。
太田垣 章子
OAG司法書士法人代表 司法書士
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