※画像はイメージです/PIXTA

故人の死亡を銀行に届け出ると預金は凍結され、相続手続きが終わるまで引き出すことはできませんでしたが、2019年に新しい制度が始まり、一定の範囲内であれば故人の預金を引き出すことができるようになりました。故人の銀行預金から葬儀費用を引き出す方法を紹介します。

葬儀費用を準備するために生前にできる対策

葬儀費用が必要であれば、銀行の預金口座が凍結されても一定の範囲内で引き出すことができるようになりました。しかし、葬儀費用の準備ができていなければ、一時的であっても遺族は心細い思いをしなければなりません。

 

死亡後に遺族が葬儀費用の支払いに困ることがないように、生前に準備しておくとよいでしょう。ここでは、葬儀費用を準備するために生前にできる対策として以下の3つを紹介します。

 

■あらかじめ預金を引き出しておく

葬儀費用として必要になると予想される金額(多くても200万円程度)を自宅の金庫などに保管しておけば、遺族は預金を引き出す必要がなくなります。しかし、高齢者が手元にまとまった現金を持っていると、犯罪に巻き込まれる危険性があります。

 

そのほか、家族の誰かがお金を使い込んで、相続のときにトラブルになる可能性もあります。

 

■生命保険・葬儀保険に加入する

自身を被保険者にして、葬儀を行う人を受取人にした生命保険に加入すると、葬儀費用の準備に活用することができます。生命保険の死亡保険金は、保険会社に死亡届のコピーを提出すればおおむね1週間以内に支払われます。

 

一般の生命保険のほか、葬儀費用の準備に特化した葬儀保険と呼ばれる種類の保険もあります。

 

葬儀保険は少額短期保険(ミニ保険)の一種で死亡保険金が300万円以下に抑えられていますが、葬儀費用を準備するためであれば十分な金額でしょう。保険会社によっては、高齢であったり持病があったりしても加入できます。

 

■互助会・葬儀信託を利用する

互助会や葬儀信託を利用して、事前に葬儀費用を準備することもできます。葬儀の内容を決めておくことができれば、家族の負担も軽くなるでしょう。

 

互助会は、毎月一定額の掛金を積み立てて葬儀費用に充てる仕組みで、指定の葬儀社で割安に葬儀を行うことができます。一方、途中で解約すると解約手数料がかかります。

 

互助会で積み立てしていることを知らずに遺族が指定以外の葬儀社で葬儀を行った場合は、掛金は返金されません。互助会に入会するときは家族にも伝えておくようにしましょう。

 

葬儀信託は、葬儀費用として資金を銀行に信託する仕組みです。葬儀社は葬儀を実施したのち、銀行から代金を受け取ります。葬儀社が経営難に陥っても、資金は銀行に預けているためなくなる心配はありません。契約時に喪主の候補者も同席するため、遺族が知らずに他の葬儀社で葬儀をする心配もありません。

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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