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故人の死亡を銀行に届け出ると預金は凍結され、相続手続きが終わるまで引き出すことはできませんでしたが、2019年に新しい制度が始まり、一定の範囲内であれば故人の預金を引き出すことができるようになりました。故人の銀行預金から葬儀費用を引き出す方法を紹介します。

被相続人の銀行預金は凍結される

銀行に預金している人が死亡すると、その人の名義の預金口座は凍結されます。入金や出金が停止されるほか、振込や振替、自動引落もできなくなります。銀行は預金口座を凍結することで、一部の相続人が勝手に預金を引き出すことを防いでいます。

 

■預金はいつから凍結されるか

故人の預金口座は、通常は相続人や親族から銀行に死亡の連絡があった時点で凍結されます。このほか、銀行に口座の有無を問い合わせたり、残高証明書の取得申請をしたりして名義人が死亡したことがわかれば、預金口座は凍結されます。

 

ごくまれに、銀行の職員が新聞などで名義人の死亡を知って口座凍結の手続きを始めることもあります。

 

なお、役所に死亡届を提出しても銀行に連絡されることはありません。また、ある銀行で預金口座が凍結されても、通常は他の銀行に知られることはありません。

 

■相続手続きで凍結を解除する

凍結された故人の預金は、原則として相続人による相続手続きが終わるまで引き出すことができません。

 

預金の相続手続きでは、遺言書または遺産分割協議書のコピーと戸籍謄本、印鑑証明書などを銀行に提出する必要があります。手続きには数週間から1か月程度かかります。

 

■凍結前に勝手に引き出すとトラブルのもと

凍結される前に不用意に故人の預金を引き出すと、トラブルを引き起こす恐れがあります。家族がキャッシュカードの暗証番号を知っていれば、故人が死亡した後でもATMで引き出すことができます。銀行に故人の死亡を知られることもありません。

 

しかし、他の相続人から遺産の横領を疑われるほか、財産も借金もすべて相続することを認める単純承認をしたことになって相続放棄ができなくなる場合があります。通常は葬儀費用を支払っただけでは単純承認にはなりませんが、葬儀費用が過度に高いなど個別の事情によっては単純承認となる可能性もあります。

 

凍結される前に故人の預金を引き出す場合は、事前に他の相続人の承諾を得ることをおすすめします。遺産の横領を疑われないように、葬儀費用を支払う場合は領収書をもらうようにしましょう。

次ページ銀行預金の凍結後に葬儀費用を下ろすには

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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