(※写真はイメージです/PIXTA)

日経平均株価は2021年2月に30,000円を一時突破しましたが、その後は上値が重い展開が続いています。本記事では、行動ファイナンス理論の「歪度(わいど)」という概念を取り入れ、複数の戦略を組み合わせて日本株の長期上昇トレンドに乗る方法を考えます。※本連載は、東海東京調査センターの中村貴司シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)への取材レポートです。

複数の戦略やファクターを組み合わせて分析する

代替戦略(オルタナティブ・ストラテジー)の一つのアイデアとして、「歪度(わいど)」を高めたポートフォリオの構築が挙げられる。歪度とは、分布の非対称性を示す指標で正規分布(資産の収益分布が左右対称)からどれだけ逸脱しているかを表す統計量(山が左にずれ裾野が右に伸びている場合は正の値を、裾野が左に伸びている場合は負の値をとる)。

 

歪度の高い分布(歪度がプラス)では正規分布と比較し、大きな損失が生じる確率が低く、逆に大きな利益を獲得する確率が高くなることが知られている。わかりやすく言うと「ブラックスワン現象(確率は低いがその事象が起きると大きな損失を被るような突然の市場の急落)」により、今まで積み上げた利益を一気に吐き出してしまうリスクを少しでも回避するため、こうした歪度のリスク管理が投資の実務で使われることも多い。

 

最近では行動ファイナンス理論を用いた年金運用ポートフォリオにおいて、低ボラティリティ株のウェイトを高めることで歪度管理を行う手法も活用される(変動率の低い銘柄群を活用した分散ポートフォリオはダウンサイドリスクが低く、リターンが高い傾向にあるため)。

 

さらにこうした低ボラティリティ戦略に、局面に応じてクオリティファクター(ROEや財務レバレッジなど)やバリューファクター(配当利回りの高さやPBRの低さなど)を組み合わせた銘柄選別を行うことで市場の動きに追随できる可能性が高まろう。

 

また、ポートフォリオの一部にトレンドに追随するCTA戦略(ヘッジファンドの代表的な戦略の一つ)を加えることで、短期の急騰、急落局面に対するリスク管理を行うことも一案だと考える。

 

以上のような、低ボラティリティ戦略と2つのファクターの組み合わせおよびトレンド追随のCTA戦略を活用してポートフォリオを組み立て、短期の市場の動きに一喜一憂せず、長期の日本株上昇の恩恵を享受したい。

 

中村 貴司

東海東京調査センター

投資戦略部 シニアストラテジスト(オルタナティブ投資戦略担当)

 

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このレポートは、投資判断の参考となる情報の提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資判断の最終決定は、お客様自身の判断でなさるようお願いいたします。このレポートは、信頼できると考えられる情報に基づいて作成されていますが、東海東京調査センターおよび東海東京証券は、その正確性及び完全性に関して責任を負うものではありません。なお、このレポートに記載された意見は、作成日における判断です。

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