育休復帰を「受け入れる側」の心構えも重要
子育てをしながら働きやすい職場の特徴として、上司や同僚の理解があることが挙げられます。
オイシックス・ラ・大地の育休復帰プログラムでは、受け入れる側の上司や同僚を対象としフォローする体制が組まれています。育児経験のない社員には、子育てをしながら働くことにはどんな大変さがあるのか、なかなか分からないものです。しかし、受け入れの心得が共有されることで、職場で起こりがちな問題を事前に防ぐこともできます。
この点において、ユニークな取り組みをしているのが、キリンホールディングス株式会社です。
子育て中の社員などの、時間に制約がある働き方への理解を深めようと、国内主要会社を対象とした研修を実施しています。その名も「なりキリンママ・パパ」というプログラムです。このプログラムでは、子育て中の社員の日常を想定した架空の条件のもと、社員の働き方を1ヵ月間体験します。
その条件とは、次のとおりです。
・パートナー(配偶者など)とは同居
・実家のサポートは原則なし
・フルタイム勤務
そして、このプログラムには、八つのルールがあります。
一つ目は、1日の所定勤務時間である7.5時間を徹底すること。この研修を受ける社員は保育園の送迎もするという設定なので、基本的に残業はNGです。
二つ目は、人事制度を活用すること。在宅勤務やフレックスタイムなどの会社の制度を知り、活用しなければなりません。自分で会社の制度を調べて実際に使うことで、どのような制度があるのかを知ることができ、詳細を把握することができます。
三つ目は、週1回に限り、残業や得意先との会食などはOKというもの。週に1回は配偶者の協力が得られるという設定で、退社時間を超えて勤務したり、業務上必要となる飲食が許されています。この条件は部門の特性に合わせて、部署ごとに回数や頻度を変更することが可能とされています。
四つ目は、保育園から呼び出しの電話がきたらすぐに帰宅、または翌日お休みすること。この研修に参加している社員には、唐突に「保育園からの呼び出し」の電話がかかってきます。これは人事総務部が事前に設定した自動音声の電話で「キリン保育園園長の磯崎です。○ちゃんが熱を出しました。耳を何度も触っていて急性中耳炎の可能性もあると思われます。今すぐ保育園まで迎えに来てください」といった、なんとも臨場感溢れる内容です。
この電話を受けたら、上司や同僚に業務を引き継ぐなどの調整をして、すぐに帰宅しなければなりません。翌日1日休まなければならないという設定の電話がくることもあります。その場合も、翌日の業務を調整し、仕事を持ち帰って在宅勤務することは同様に禁止です。
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