(※画像はイメージです/PIXTA)

女性の活躍が推進されている時代でありながら、出産や育児をきっかけに働くことを諦めてしまう人は少なくありません。その理由として、企業による「育休復帰」へのフォロー体制が整っていない、といった問題が挙げられます。今回は、ベビーシッター事業、保育園事業、病院内保育園委託事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開する株式会社マザーグース代表取締役の柴崎方恵氏が、「育休復帰しやすい企業」がどのような取り組みを行っているのか、解説していきます。

育休復帰を「受け入れる側」の心構えも重要

子育てをしながら働きやすい職場の特徴として、上司や同僚の理解があることが挙げられます。

 

オイシックス・ラ・大地の育休復帰プログラムでは、受け入れる側の上司や同僚を対象としフォローする体制が組まれています。育児経験のない社員には、子育てをしながら働くことにはどんな大変さがあるのか、なかなか分からないものです。しかし、受け入れの心得が共有されることで、職場で起こりがちな問題を事前に防ぐこともできます。

 

この点において、ユニークな取り組みをしているのが、キリンホールディングス株式会社です。

 

子育て中の社員などの、時間に制約がある働き方への理解を深めようと、国内主要会社を対象とした研修を実施しています。その名も「なりキリンママ・パパ」というプログラムです。このプログラムでは、子育て中の社員の日常を想定した架空の条件のもと、社員の働き方を1ヵ月間体験します。

 

その条件とは、次のとおりです。

 

・子どもの年齢は2歳前後
・パートナー(配偶者など)とは同居
・実家のサポートは原則なし
・フルタイム勤務

 

そして、このプログラムには、八つのルールがあります。

 

一つ目は、1日の所定勤務時間である7.5時間を徹底すること。この研修を受ける社員は保育園の送迎もするという設定なので、基本的に残業はNGです。

 

二つ目は、人事制度を活用すること。在宅勤務やフレックスタイムなどの会社の制度を知り、活用しなければなりません。自分で会社の制度を調べて実際に使うことで、どのような制度があるのかを知ることができ、詳細を把握することができます。

 

三つ目は、週1回に限り、残業や得意先との会食などはOKというもの。週に1回は配偶者の協力が得られるという設定で、退社時間を超えて勤務したり、業務上必要となる飲食が許されています。この条件は部門の特性に合わせて、部署ごとに回数や頻度を変更することが可能とされています。

 

四つ目は、保育園から呼び出しの電話がきたらすぐに帰宅、または翌日お休みすること。この研修に参加している社員には、唐突に「保育園からの呼び出し」の電話がかかってきます。これは人事総務部が事前に設定した自動音声の電話で「キリン保育園園長の磯崎です。○ちゃんが熱を出しました。耳を何度も触っていて急性中耳炎の可能性もあると思われます。今すぐ保育園まで迎えに来てください」といった、なんとも臨場感溢れる内容です。

 

この電話を受けたら、上司や同僚に業務を引き継ぐなどの調整をして、すぐに帰宅しなければなりません。翌日1日休まなければならないという設定の電話がくることもあります。その場合も、翌日の業務を調整し、仕事を持ち帰って在宅勤務することは同様に禁止です。

 

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次ページ五つ目は「突発的な残業」についての取り決め
出産・育児による離職ゼロを実現!企業がつくる保育園

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柴崎 方恵

幻冬舎メディアコンサルティング

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