女性の活躍が推進されている時代でありながら、多くの女性が出産や育児をきっかけに働くことを諦めている今の日本。その理由として、保育園を巡る問題が挙げられます。今回は、ベビーシッター事業、保育園事業、病院内保育園委託事業、企業主導型保育園のFC事業、人材育成・派遣・紹介事業などを展開する株式会社マザーグース代表取締役の柴崎方恵氏が、産休・育休後の女性を取り巻く「職場環境」について解説していきます。

「今の会社で働くのを諦める」という選択肢

従来は、子育てをしながら仕事をすることに難しさを感じれば「離職する」というのが
一般的な流れでした。働くこと自体を諦め、家庭に入って子育てに専念するというパター
ンです。

 

ところが、近年はその傾向が変化しています。転職市場で「子育て中歓迎」を前面に出した求人が増えているのです。

 

エン転職によれば、2019年の「子育て中歓迎」の求人は、2015年比で3倍になったといいます。その職種も、事務職や営業職からエンジニア、デザイナーなど、幅広くなっています。

 

少し前までは、例えば「1歳の子どもがいる」というだけで、書類選考で落とされてしまうなどといわれていました。しかし、現在の職場で仕事と育児を両立することに限界を感じれば、「仕事を辞める」のではなく「勤め先を変える」という選択をすることが可能な環境になっているのです。

 

出産前の職場に戻ったとしても、土日勤務があったり、長時間の勤務になったりすることがあるなら、育児をしながら働くのは大変だということは目に見えています。そのため、いったん復職するものの、働きながら転職先を探すという人もいるようです。

 

最近では、子育て中の女性社員が活躍している企業の求人ばかりを集めたサイトも出てきました。日本全体の労働人口の減少を考えると、今後、優秀な人材を確保し、長く働き続けてもらうことは、企業の重要な課題となるでしょう。

 

さまざまな業界において、企業が仕事と育児の両立支援に力を入れ始めている今、育児しながら働くための環境を整えることに乗り遅れている企業は、危機的な状況にあるといえます。今後、人材の採用に苦労するようになるだけでなく、せっかくスキルを身につけた優秀な人材が次々と流出して、会社として先細りしてしまうリスクを抱えているということになるからです。

「出産・育児」を経て、長く働ける職場の三つの条件

出産を機に女性社員が退職する会社がある一方で、出産・育児を経て、長く働き続けられる会社も多く存在します。そういった会社には、どのような特徴があるのでしょうか。

 

長く働ける職場の特徴は…(画像はイメージです/PIXTA)
長く働ける職場の特徴は…(画像はイメージです/PIXTA)

 

子育てしながら働きやすい環境は、次の三つに集約することができます。

 

・同じワーキングマザーとしての立場から相談に乗ってくれる存在がいること
・子育てしながら働くことについて、上司や同僚の理解があること
・子育てしながら働くうえで、会社の実情に沿った制度があり機能していること

 

それでは一つずつ見ていきましょう。

 

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柴崎 方恵

幻冬舎メディアコンサルティング

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