※画像はイメージです/PIXTA

原野商法の被害が2010年代から急増しています。近年は、過去に原野商法の被害を受けた人やその相続人を狙っているのが特徴で、相続税対策などを謳い文句にした手口が多いようです。そのような原野商法に騙されないためにも、勧誘手口と相続税の節税効果がない理由について見ていきましょう。

現在保有している「原野商法の土地」の相続税対策

原野商法で取得した土地の節税については、税理士に相談してください。不動産販売業者は不動産のプロであり、税金のプロではありません。

 

また不動産販売業者は不動産を売ることが目的ですので、節税効果を拡大解釈している場合もあります。

 

■土地の固定資産税評価額が正当な金額なのかを確認する

倍率方式の計算で必要となる固定資産税評価額評価は、相続税を担当している税務署ではなく、対象物件が所在する場所を管轄する市区町村が担当しています。

 

固定資産税評価額は3年に1度評価替えを行っていますが、評価額の金額に納得できない場合には、不服申し立て制度が利用できます。資産的価値のない土地に高値の固定資産税評価額が設定されている場合には、市区町村に確認の上、制度を活用することも検討してください。

 

■不要な土地を市区町村に寄付することで相続税の節税になる

残念ながら、処分できない土地を保有していても維持管理費がかかるだけですので、売却することは諦めて寄付することも視野に入れましょう。

 

国への寄付は、行政目的で利用する土地以外は受け入れないとしていますので、寄付をする際には地方自治体が選択肢となります。

 

国に土地等を寄付したいと考えていますが、可能でしょうか

 

【答】

寄付の申出があった場合、土地等については、国有財産法第14条及び同法施行令第9条の規定により、各省各庁が国の行政目的に供するために取得しようとする場合は、財務大臣と協議の上、取得手続をすることとなります。

 

なお、行政目的で使用する予定のない土地等の寄付については、維持・管理コスト(国民負担)が増大する可能性等が考えられるため、これを受け入れておりません。

 

出所:財務省

 

ただし市区町村が土地の寄付を受けるかどうかは、土地の所在地や利用価値によって異なり、寄付が断られる可能性もあります。また、「寄付」ですので当然手元にお金は入ってきません。

 

それでも寄付ができれば土地の維持管理費が不要になりますし、寄付した土地に対する相続税も支払わずに済みます。

 

■相続税評価額が低い土地に対して相続税対策をしても効果は薄い

資産的価値の低い土地は相続税評価額も低いため、相続税対策は必要ありません。原野の相続税評価額が10万円だった場合、相続税の税率が10%であれば、支払う相続税は1万円です。もし民間業者に土地を引き取ってもらうとしても、諸費用は1万円以上発生しますので、処分せずにそのまま保有した方がお金を節約できます。

 

相続税を抑えたい場合は、相続税評価額が大きい土地や節税効果が高い特例制度を利用することが先決です。特例適用には要件がありますので、相続税対策をする際には税理士に相談することを推奨します。

 

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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