※画像はイメージです/PIXTA

原野商法の被害が2010年代から急増しています。近年は、過去に原野商法の被害を受けた人やその相続人を狙っているのが特徴で、相続税対策などを謳い文句にした手口が多いようです。そのような原野商法に騙されないためにも、勧誘手口と相続税の節税効果がない理由について見ていきましょう。

そもそも「原野商法」とは?

原野商法とは、値段がつかないような山奥の土地(主に原野)を資産的価値があるように思わせ、販売する悪徳商法です。

 

不動産購入には数百万円から数千万円のお金が必要になりますので、原野商法の被害に遭った人の被害金額が大きいことも社会問題となった一因です。

 

■将来土地の価値が上がると思い込ませて販売する戦略

1970年代から流行した原野商法は、将来的に価値が上がる土地を安値で購入できることをウリにして販売していました。基本的に原野は、宅地と比べて用途が限られますので資産的価値は低いです。

 

しかし原野商法を行う不動産販売業者は、販売物件の地域に今後リゾート開発が行われるなど、嘘の情報を説明することで山奥にある土地が値上がりするかのように見せかけました。

 

リゾート開発が進んでいるように誤解させるために、土地を分筆し登記上は販売用に区画整理したように見せかけたり、著名人に無償で土地を渡すことで「〇〇さんも所有!」などと広告塔として利用していました。

 

■原野商法で販売された不動産は資産的価値のない土地

周辺一帯の土地を整地し、区画販売する手法は一般的であり、それ自体に問題はありません。ただ土地を住宅地として販売する場合は、水道・ガス・電気などのライフラインが整っていないと買い手がつきませんので、宅地開発されるのは整備費用のコストが回収できる場所に限られます。

 

しかし原野商法で販売されていた土地は、ライフラインがない山奥の土地であり、開発工事をする場合には莫大な費用が必要です。また立地条件も非常に悪い地域にあったため、宅地開発をしても工事費用を回収できる見込みはありませんでした。

 

そのため不動産販売業者が説明したような、リゾート開発プロジェクトは行われず、購入した原野の価値が上がることはありませんでした。

 

■原野商法で取得した土地は使い道がないため売却できない

原野商法で販売されていた土地は、利用価値のない土地です。そのため土地を売却しようとしても買い手がつかず、損失を補填することも難しい状況でした。

 

そして、被害者が原野商法により購入した土地の維持管理費を支払う状況が十数年続いたのち、近年新たに発生した問題が原野商法の二次被害です。

 

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本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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