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●家賃
居住用、事業用ともに専有面積30㎡程度で、都心主要駅から徒歩5分程度の立地にある場合、その家賃には大きな差が出てきます。居住用の場合は高くでも月額12万円程度ですが、事業用であれば月額15~20万円でも借り手は付きます。居住用は生産性の低い空間ですが、事業用はそこで利益を生むことができます。
有名企業が軒を連ねるビジネス街であればなおさら、家賃が割高でもネームバリュー効果を期待して多くの会社が入居申込みを入れてくるでしょう。
●設備投資
居住用の設備投資で費用がかかるものといえば、エアコンや給湯器、トイレ、浴室設備の交換程度でしょう。一方事業用は、パソコンやネット、電話回線や電源コードを収容するOAフロアの敷設や、業務上の重要書類を守るためのセキュリティシステムの配備が必要です。
これらは一度設置してしまえば設備自体の維持費用はかかりませんが、定期メンテナンスやセキュリティ管理費などの月間固定費が発生します。
●築年数
理想の賃貸物件を見つけるため、不動産ポータルサイトのネット検索システムを利用することはもはや常識となりました。そこで居住用物件を検索する際、ほとんどの人が検索条件として「築10年未満」を選ぶといいます。居住用にとって築10年の壁は厚く、11年目以降は平成・昭和築の古い物件同様の扱いとなってしまい、賃料も2~3割下げないと新たな入居者が決まらないのです。
一方、事業用の場合は設備が整っていれば築10年どころか30~40年経過しても家賃が下がりません。前述のOAフロアやセキュリティシステムが装備されており、ある程度「オフィス然」とした体裁が整っていれば、事業用の物件評価は一定レベルを維持できるといえます。
●管理
居住用・事業用とも、賃貸管理専門の不動産会社に委託してしまえば手間はありませんが、事業用は9:00〜18:00時利用が主なのに対し、居住用の場合は入居者が部屋にいる時間ずっとクレーム対応しなければなりません。クレームの内容は主に「水漏れが発生した」「ガスが点火しない」「エアコンが壊れた」「玄関鍵をなくした」などで、そのほとんどは入居者が外出先から帰宅する夜間に集中します。
法人契約の魅力は「信頼性」と「家賃収入の安定」
上記の比較から、「設備投資」以外はすべて事業用の方がオーナーにとって有利であることが分かります。法人契約はなんといっても信頼性が高く、概ね10年間は安定した家賃収入が約束されます。業績のよい会社であれば高い家賃でも支払い継続は確実で、オーナー側が設備メンテナンスを怠らなければ、古い物件でも長く入居してもらえます。
専有面積30㎡台であれば、居住用と事業用の物件価格に大きな差はありません。それどころか、事業用を買う投資家は高利回りを望む人が多いため、居住用より指値がしやすいのです。しかし、コンパクトオフィスの流通数は全体的に少なめです。コロナ禍によりテレワークが実施されるまでは、賃貸オフィスといったら30坪以上が当たり前で、それ以下の小さなオフィスはあまり供給されていませんでした。
在宅ワークを導入する企業が増えたいま、オフィスビルにも空室が目立つようになりました。新たな入居者を獲得するには、なにかしら手を打つ必要があるでしょう。
先見の明を持つオーナーは、この大きな空室をパーテーションでブース分けし「シェアオフィス」として再稼働させようと目論んでいます。これと同様に、100㎡の事務所を30㎡の複数戸に分割することが可能であれば、区分所有のコンパクトオフィスとして個別売却する手も考えられます。そういった売物件が登場すれば、個人投資家でも事業用物件を所有できるチャンスが見えてきます。
「コンパクトオフィス」が主流になる兆しが見えてきた
不動産投資ビギナーにとって、身近な居住用賃貸は取り組みやすいのはたしかですが、事業用賃貸も個人で所有し、賃貸運用が可能です。昨今のコロナ禍で需要が高まっている、広めのワンルーム~1LDKと同じサイズ感の事業用賃貸であれば、心配するほどの負担はありません。
居住用と事業用を、入居者の属性や契約期間、家賃、設備投資、築年数など賃貸物件としての扱いやすさで比較すると、事業用の方がオーナーにとって有利といえます。
コロナ禍によってテレワークが当たり前となり、今後は30㎡前後のコンパクトオフィスが主流になる兆しがあります。まだ流通数は少ないものの、空室の大規模オフィスが区分化されれば、コンパクトオフィスが増えてくる期待が持てます。
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