自宅を担保にお金を借りることができるローン商品「リバースモーゲージ」。自宅を現金化することで、住宅ローンの返済やゆとりある生活、介護施設への入居費用などに充てることができます。しかも生前贈与など相続対策にも活用することができます。

リバースモーゲージを利用するときの注意点

自宅に住み続けながらお金が借りられるリバースモーゲージですが、場合によっては契約者だけでなく相続人にもトラブルが及ぶ場合があります。

 

■担保割れのリスクがある

リバースモーゲージには、担保となる自宅の評価額が借入残高より低くなる担保割れのリスクがあります。担保割れが起きる要因としては、次の3つがあげられます。

 

・不動産価格の下落

・金利の上昇

・契約者の長生き

 

不動産価格が下落すると担保の価値が下がるため、借り入れ可能な金額も下がります。必要な金額が借りられなくなるほか、すでにお金を借りている場合では返済を迫られることもあります。

 

また、利息を借入残高に組み入れる場合は、金利が上昇すると借入残高が増えて担保割れとなる可能性があります。

 

契約者が長生きすることも担保割れのリスクとなります。生活資金に充てるために少しずつ借り入れを行う場合は、長生きすればするほど借入残高が増えて担保割れとなる可能性が高くなります。

 

■契約には推定相続人の同意が必要

多くの金融機関では、リバースモーゲージの契約について、配偶者や子供など推定相続人(契約者の死亡時に相続人になることが見込まれる人)の同意を必要としています。契約者が死亡したときは、相続人に次の2つの問題が生じます。

 

・自宅が相続できない

・相続人が借入金を引き継ぐ場合がある

 

リバースモーゲージを利用していることを相続人が知らなければ、自宅が相続できないことで金融機関とトラブルになる可能性があります。

 

また、自宅の担保割れなどで契約者の死亡後に借入金の返済が困難になった場合は、相続人が借入金を引き継ぐなど、思わぬリスクを引き受ける可能性もあります。

 

このようなトラブルを防ぐため、契約時には推定相続人の同意が求められています。

リバースモーゲージが使えない場合もある

リバースモーゲージは自宅の不動産に担保を設定するため、宅地価格の高い主要都市の戸建住宅を対象にしていることが一般的です。特に民間金融機関の商品は、三大都市圏に限定していることが大半です。

 

契約者と配偶者以外の同居を認めていないことにも注意が必要です。高齢の親との同居は認められる場合もありますが、子供との同居は認められません。

 

同居者がいると、契約者の死亡時に自宅を処分できなくなる恐れがあるからです。

 

金融機関によっては、生活資金や自宅のリフォーム・建て替えなど、借りたお金の用途を指定している場合があります。用途が指定されていない場合でも、事業目的や投資目的の借り入れはできません。

次ページ相続対策としてのリバースモーゲージの活用例

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。

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