いま、弁護士や税理士などの士業は過渡期を迎えようとしています。「AIに仕事が奪われる」との声も……。しかし、士業のすべてなくなるわけではなく、人間にしかできない仕事がまだまだあります。AIやITなどの技術革新が続くなか、士業の仕事に付加価値をつける方法を税理士、公認会計士、心理カウンセラーとして活躍する著者が明らかにします。本連載は藤田耕司著『経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)から一部を抜粋し、再編集したものです。

諦める人は感情に意識を向ける傾向がある

私は2006年からメンバーを固定した勉強会を毎月開催しており、「未来の仕事」の進捗状況について報告し合っています。これによって時代の流れの一手先をいくための情報交換が積極的に行われており、その情報をもとに各自が素早くアクションを起こしています。

 

報告の内容は毎回刺激的で、メンバーの成長のスピードには驚かされるばかりです。勉強会の発足時は無名だったメンバーも、今では発足時とは比較にならないほどに事業を拡大し、その業界では有名人になったりもしています。「未来の仕事」に対する積極的な取り組みが、メンバーのここまでの成長をもたらしています。

 

「怖い」を克服し、原因分析と仮説立案を行う

 

新たなツールを導入して業務を効率化する、既存のお客様のニーズを満たすコンサルティング業務を行う、経営の課題解決の支援を行う。こういったことに対する取り組みの中には、経験のないことも含まれるでしょう。経験のないことをやる際には、先が読めないことから、人は「怖い」という感情を抱きます。だれもが、何かに挑戦する際には「うまくいかなかったらどうしよう」と不安になるものです。

 

とはいえ、「怖いからやめよう」では、時代の流れに取り残されるだけです。大事なのは、「小さな挑戦から始める」ことです。大きな挑戦で失敗すれば取り返しがつかなくなるので、まずは小さく始めて、つまずいたら原因分析と仮説の立案をするという進め方が、「怖い」の克服につながります。

 

新たなアクションを起こして軌道に乗せる人は、「原因分析」と「仮説立案」に意識を向ける傾向があります。自らの行動と結果に対して、それが成功であれ失敗であれ、「なぜこの結果になったのか」と原因分析し、「どうすればうまくいくのか」という仮説立案を行います。たとえ最初はつまずいたとしても、原因分析と仮説立案を粘り強く繰り返せば、次第に軌道に乗せることができます。

 

一方で、新たなアクションを起こしてもすぐに挑戦をあきらめてしまう人は、「感情」に意識を向ける傾向があります。特にうまくいかない状況では、落胆や怒り、悲しみの感情にとらわれて、再び同じ思いをすることへの恐怖を覚え、挑戦に強いストレスを感じるようになります。また、人間の脳は、強い感情が生じると思考をつかさどる脳の働きが抑制されるため、冷静な原因分析や仮説立案が難しくなります。

 

そのため、うまくいかない場合でも「感情」に意識を向けるのではなく、「原因分析」と「仮説立案」に意識を向けるようにし、まずは小さく始めてみることで、「怖い」という感情を少しずつ克服するようにしていきましょう。

 

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経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

経営参謀としての士業戦略 AI時代に求められる仕事

藤田 耕司

日本能率協会マネジメントセンター

AIの利用が広がるにつれ、多くの士業が「定型的で単純な手続き業務はAIに取って代わられかねない」と危機感を強めています。 起業して新事業を始めたり、いち早くAIを取り入れたりするなど、業務の見直しに取り組む動きも出始…

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