元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、商品先物取引の特徴について解説します。

「株式や国債での先物取引」評価額3割減だが…

(3)現金以外に、株式や国債が資金に使える

 

商品先物取引では、資金として使えるのは現金だけではありません。株式や国債などの有価証券を担保に取引することも可能です。有価証券を資金として利用すれば、株式や国債などへ投資しながら商品先物取引を行うことができるため、資金を有効に活用することができます。

 

有価証券の評価額は、たとえば利付国債なら額面のおよそ8割、一部上場銘柄株式なら時価のおよそ7割です。株式の評価額は、毎月10日の終値に0.7を乗じて算出します。この評価額は、その月の25日から翌月24日まで採用されます[図表4]。ただし、株価急変時には、評価額が変更されることがあります。

 

[図表4]代用できる有価証券の種類・銘柄と評価基準
[図表4]代用できる有価証券の種類・銘柄と評価基準

 

有価証券を商品先物取引の資金として使う際には、まず、商品先物取引業者等を通じて、指定される代行証券会社に口座を開設します。次に、取引している証券会社から代行証券会社に有価証券を振り替えます。

 

このようにして預託した有価証券は、商品先物取引業者等を通じて売却することも可能です。さらに、たとえば株式の場合は配当金、利付国債の場合は金利を受け取ることもできます。

 

ただし、売却には通常よりも日数がかかるほか、「特定口座・源泉徴収あり」を選択しても売却益は源泉徴収されず、株式等の譲渡にかかる課税の特例対象とならない等、通常の証券会社における売却とは異なる事項があります※2。有価証券を預託する場合には、事前に商品先物取引業者等に確認するようにしましょう。

※2取引証拠金充用有価証券を商品先物取引業者において換価処分した場合の課税関係に関する国税庁の見解は以下の通りです。「委託証拠金充用有価証券(株式)の換価処分は、委託者による証券会社への売委託にはあたらないので、次のような株式等の譲渡に係る課税の特例を適用しない。・上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除の特例(売却損失についての3年間の繰越控除)」

 

 

三次 理加

ファイナンシャルプランナー

 

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お米の先物市場活用法

お米の先物市場活用法

三次 理加

株式会社時事通信出版局

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