元経済産業省産業構造審議会・商品先物取引分科会委員でファイナンシャルプランナーの三次理加氏が執筆した『お米の先物市場活用法』(時事通信出版局)より一部を編集・抜粋し、商品先物取引の特徴について解説します。

「お米」の先物取引の仕組み…取り扱い品種は4種類

(1)上場されている米の銘柄

 

国内において米の先物取引を上場しているのは、大阪堂島商品取引所のみです。上場されている銘柄は、秋田こまち、新潟コシ、東京コメ、宮城ひとめの4銘柄です。

 

(写真はイメージです/PIXTA)
(写真はイメージです/PIXTA)

 

商品先物取引では、取引の基準となる銘柄が定められています。これを「標準品」と呼びます。秋田こまちは「秋田県産あきたこまち」、新潟コシは「新潟県産コシヒカリ」、東京コメは「栃木県産あさひの夢、群馬県産あさひの夢、埼玉県産彩のかがやき、千葉県産ふさおとめ、千葉県産ふさこがね」、宮城ひとめは「宮城県産ひとめぼれ」が標準品と定められています。

 

ただし、受渡しできる銘柄は、標準品だけではありません。受渡供用品といって、格付表または調整表で定める銘柄も受け渡し可能です。受渡供用品は、大阪堂島商品取引所のホームページで公表されています。

 

(2)取引単位

 

株式の場合、売買する数量の単位は「株」です。たとえば、「NTTドコモを100株買い」「日立製作所を1000株売り」というように数えます。2018(平成30)年10月1日より、全国の証券取引所において、株式の売買単位が100株単位に統一されました。

 

そのため、NTTドコモも日立製作所も100株の整数倍で売買します。たとえば、NTTドコモを1株だけ、日立製作所を10株だけ売買するということは、原則としてできません。商品先物取引の場合、売買単位は「枚」です。

 

「秋田こまちを1枚買い」「新潟コシを5枚売り」というように、「枚」の整数倍で売買します。たとえば、秋田こまちを0.5枚だけ売買するということはできません。ただし、枚の中身(数量並びに数量の単位)は商品により異なります。

 

たとえば、東京金の1枚は1000グラム、プラッツドバイ原油の1枚は50キロリットル、東京とうもろこしの1枚は50トンです。米の場合、秋田こまちの1枚は17俵(=1020キログラム)、新潟コシの1枚は25俵(=1500キログラム)、東京コメの1枚は200俵(=1万2000キログラム)です。ちなみに、この「枚」という数え方は、商品を保管する倉庫に由来します。

 

たとえば、米を買ったまま納会日(=最終取引日)を迎えた場合、ある日突然、自宅や会社に大量の米が配達されてきた、などということになったら大変かもしれません。実際には、買った米は、倉庫会社の倉庫に保管されています。そのため、手続を経ずに自宅や会社に直接、米が届くということはありません。

 

その代わりに、納会日の後にくる受渡日に、買った人の手元に「A倉庫に米200俵を保管しています」という証書が届きます。この証書のことを「倉荷証券」といいます。倉荷証券を1枚、2枚と数えることから、商品先物取引では売買単位を「枚」と数えるようになったといわれます。

※実際には、倉荷証券による授受のほか、受渡期間内に取引所が認めた方法により商品を引き渡す方法があります。

 

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お米の先物市場活用法

お米の先物市場活用法

三次 理加

株式会社時事通信出版局

先物取引といえば、ハイリスク・ハイリターンな資産運用、投機というイメージが強い。一方、生産者、集荷業者、卸売業者、飲食業者等の立場で先物市場を利用する場合には、次のようなメリットがある。 1価格変動のリスクヘッ…

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