小児科医が「発達障がいの子を持つ保護者」に知ってほしい5つのこと

本記事では、筑波こどものこころクリニック院長/小児科医の鈴木直光氏の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋・編集し、「大人の発達障がい」とどのように向き合うべきか、実例をもとに解説します。

周りの人の「知識ある愛」が一番の支え

今まで私のクリニックでは初診で来た親御さんに、「子どもと接する上でこれだけは知ってほしい・やってほしい」という内容のプリントをわたして説明していました。最近は、著者の本を読んで勉強してくださいと伝えています。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

①自閉症の方たちと接するための基本的なプログラムである、TEACCH(Treatmentand Education of Autisticand Related Communication Handicapped Children)というものがあります。アメリカのノースカロライナで生まれました。

 

これは、自閉症の人たちに彼らを取り巻く環境の意味を伝え、有効なコミュニケーションを図りながら、彼らとの共存世界を目指そうとするプログラムです。TEACCHについては、1冊の本になって出ていますので、ここではその内容は省かせてもらいます。

 

外来では『「自閉症への親の支援」TEACCH入門』(エリック・ショプラー編著、田川元康監訳、新澤伸子・中山清司、梅永雄二・安倍陽子訳、黎明書房)という本を紹介しています。他にもTEACCHを日本へ紹介した故佐々木正美氏が書かれた本などがおすすめです。

 

②高機能自閉症の方が書かれた本(伝記)をなんでも良いので1冊読んでみることをおすすめします。当事者が書いた本を読むことで、発達障がいのお子さんの行動や悩みが、少なからず理解できるでしょう。それを知ることによって、接し方も変わってくるように思われます。

 

古い本で手に入りにくいかもしれませんが、クリニックでは『ずっと「普通」になりたかった』(グニラ・ガーランド著、花風社)というニキ・リンコ氏の訳本を紹介しています。

何ができないかではなく、何ができるかに焦点を当てる

③発達障がいのお子さんと向き合う時は、「何ができないか」ではなく、「何ができるか」に焦点を当てることが重要です。そのためには、一日の中でお子さんのできたことが一目でわかるように、できることの一覧のカードを作ることをすすめています。

 

そして、できた箇所にハンコを押し、例えば5つたまったらスーパーに連れて行くなどのご褒美をあげるのです。これは、DRC(Daily Report Card)というコミュニケーション方法です。 私のクリニックでは、ページ下部に示すような「ちゃんと行動カード」を、家庭と学校でやってもらうように提案しています。

 

発達障がいのお子さんが褒められることで自信をつけ、前向きに行動をするようになることを期待した、いわば行動のポイントカードです。DRCを使うことにより、できたことを褒めることと褒める大切さを知ってほしいのです。

 

④手助けをしてくれる機関についての情報を知っておくことも大切です。知的な面に弱点のあるお子さんの場合は、各県にある自閉症協会が主催する親の会を紹介しています。同じ立場の親御さんとさまざまな問題を共有し、解決できるからです。

 

この会は主に、特別支援学校へ通っている自閉スペクトラム症の子どもを持った親御さんの集まりです。一人で悩まず仲間が大勢いることを知ってほしいと考えています。

 

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    著者紹介

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『新訂版 発達障がいに困っている人びと』より一部を抜粋したものです。最新の税制・法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

    新訂版 発達障がいに困っている人びと

    新訂版 発達障がいに困っている人びと

    鈴木 直光

    幻冬舎メディアコンサルティング

    発達障がいは治療できる 診断、対処法、正しい治療を受けるために 書版が出版されてから4年、時代の変化を踏まえて最新の研究データを盛り込み、大幅な加筆修正を加え待望の文庫化。 “「発達障がい」は治療ができない…

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