精神保健福祉士である野坂きみ子の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』より一部を抜粋・編集し、発達障害の子どもを持つ親たちがさらされてきた、「育て方が悪かったからではないか」という誤謬の背景について見ていきます。

「発達障害」と「発達心理学」の違い

発達障害の話をしていて、発達心理学の説明を求められました。長く医療現場にいますと少し意外な感じもしましたが、そうか、発達障害も発達心理学も同じ「発達」だからそんなふうに聞かれることもあるのか、と思いました。

 

発達心理学は、たくさんある心理学の分野のひとつで、発達障害は医療や療育(保育と教育が一緒になった実践領域)、福祉の対象となる障害名です。心理学には発達心理学のほか教育心理学、社会心理学などいろいろありますが、発達障害に医療や福祉の現場で対応しているのは臨床心理学です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

臨床心理学は臨床心理士が、検査、治療、研究に当たっています(現在は公認心理師に変わってきています。臨床心理士は長く臨床心理士資格認定協会の認定資格でしたが、医療機関で働いている臨床心理士の仕事を診療報酬に位置付ける意図もあり、2015年公認心理師法が成立し2017年に施行、公認心理師という国家資格になりました。すでに医療機関で働いていた臨床心理士も順次国家資格を受け公認心理師資格を取得していますので、今後臨床心理士は公認心理師に吸収されることになると思います)。

 

では、発達心理学と発達障害は関係ないのかといわれるとそうでもないのですが、おもには子どもの時の発達状況を見て発達の障害がないのかどうか考える基準にはなります。

 

発達心理学の中では発達障害の概念はもっと広く、一般的な定型の発達はもちろんですが、障害分野でも脳性まひや身体障害、知的障害、そして社会性の発達に関する自閉性の発達障害、子どもの発達に関し幅広く見ます。

 

いま、精神科領域における発達障害、それも大人の発達障害について考えようとしているので、少し焦点が異なります。

 

大人の発達障害の判断にも、子どもの時の発達の状況は重要なポイントですので、発達心理学と関係ないということではありませんが、実践領域は異なります。

 

少し、発達心理学についてふれてみましょう。20世紀の初めまで児童という概念はなく、小さな大人と認識されていました。

 

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『“発達障害かもしれない人”とともに働くこと』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

新・健康夜咄

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髙山 哲夫

幻冬舎メディアコンサルティング

最新医療機器より大切なものは、患者さんを想う心――。著者のところには、がん、糖尿病、嚥下困難、胃ろう、認知症、独居うつ、褥瘡など、様々な病気をもつ高齢の患者さんがやってくる。地域の高齢な患者さんの声に真摯に耳を…

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