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投資信託は他人の金、ヘッジファンドは自分の金
ムーア・キャピタルのオーナーであるルイス・ベーコンは、あまり口数が多い男ではない。しかし、少ない言葉で意味深い話をしてくれるときもあった。
NYオフィスの中にあつらえたルイスの大きな部屋の照明は、ディーリングルームよりやや暗めに設定してある。燃えたぎるディーリングルームからルイスの部屋に入ると、背中がすーっと涼しくなる気がする。マンハッタンのミッドタウンで一番見晴らしが良いと思われる場所なのに、ルイスの部屋の窓は常に木製のブラインドで閉じてある。
この“黒ヒョウ”のねぐらには大型スクリーンが何台も設置されていて、まるで軍の司令センターのような仰々しい机のうしろにルイスが座る。ルイスの机は大きな会議テーブルと直接につながっている。
ある日、筆者がルイスとこの部屋で、サシで話していたときのことだ。彼は、他の機関投資家と自分の違いを、ひとことで語った。
「要するに自分の金か、他人の金かだよ」
ルイスをはじめ、ヘッジファンドのオーナーやパートナーは、自己資産の大部分を自分のファンドに注ぎ込んでいる。販売会社のようにファンドから生じる報酬というフロー所得だけが彼らの狙いではないからだ。自分のストック(資産)の価値も上がらなければ、運用する意味がないのである。
ということは、逆にファンドの運用を失敗すれば、顧客はもちろんのこと、本人のストックも打撃を受けるのである。
「他人のお金だけを運用していて、儲けても損をしても報酬が給付されるサラリーマン投資家と自分の動機付けは天地の差だ」、ルイスのこの言葉にそれは表れている。
渋澤 健
コモンズ投信株式会社会長
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