政府の成長戦略によって活発化する人材サービス銘柄
前回の続きです。
③テーマ【人材サービス】
足元では、景気回復により人材派遣業、求人広告などの人材サービスが活況となっています。厚生労働省が発表した2015年8月の有効求人倍率は1.23倍と23年7カ月ぶりの水準にまで回復しました。
同時に総務省から発表となった完全失業率も3.4%と、完全雇用の失業率の目安となる3%台半ばを下回る低水準が続いています。
また、厚生労働省が発表している職業紹介事業報告の手数料集計結果(下記図表1参照)を見てみると、平成25年度は前年度比で37.8%増と高い伸びを示しており、市場規模が急拡大していることがわかります。この手数料収入は人材サービス関連銘柄の売上推移の参考として見ることができます。
[図表1]人材紹介手数料収入と有効求人倍率の推移
景気回復に伴い、企業側が積極的に人材を採用する動きが広まっており、政府成長戦略の一つである、女性やシニア層の雇用促進がこれに拍車をかけています。
期待度は高いが、株価に割高感が出ている銘柄も
●雇用情勢
厚生労働省 有効求人倍率 毎月末または月初
総務省 失業率 毎月末または月初
過去に2度廃案となった改正労働者派遣法が、2015年9月30日に施行されました。これを受け、派遣利用拡大への期待から人材派遣関連銘柄も活況となっています(下記図表2参照)。
[図表2]主な人材紹介銘柄と日経平均 相対チャート
人材サービス関連銘柄と日経平均の株価推移を比較してみます。パソナグループ(2168)、エン・ジャパン(4849)、テンプホールディングス(2181)などの主要企業は、軒並み日経平均を上回るパフォーマンスを上げていることがわかります。外部環境に左右されにくい、内需の好業績企業としても期待度が高いと言えます。
主に人材サービスを手がける企業で、株主優待を導入している企業をご紹介します。
キャリアリンク(6070)は、100株以上の保有で1000円相当のクオカードが受け取れます。クイック(4318)は、100株以上の保有で500円相当のクオカードが受け取れます。総合メディカル(4775)は、100株以上の保有で3000円相当の自社商品を受け取ることができ、1年以上の継続保有で健康機器等が追加されます。
ここまでご紹介した関連銘柄も、好調な人材サービス市場を背景に堅調な株価推移をたどっている銘柄が多くなっています。一方、注意したいのが、株価に割高感が出てしまっている銘柄もある点です。
同業種の似通ったサービスを提供している企業でも、銘柄によって買われ過ぎて割高感が出てしまうものと、反対に出遅れていて、割安感が出るものとで差が生じることがあります。
株式を買付する前に、複数の銘柄を比較し、株価に割高感が出過ぎていないか確認しましょう。