身近な商品の中で何が支持されているかを把握する
前回の続きです。
②テーマ【コンビニエンスストア】
普段何気なく利用している商品やサービスにも、はっきりとした人気の移り変わりがあります。その一つがコンビニエンスストアです。店舗数などの推移の他、身近な商品の中でどのようなものが支持されているか把握できます。
●コンビニエンスストア消費動向
日本フランチャイズチェーン協会
コンビニエンスストア統計調査
毎月20日(土日祝日の場合、協会の翌営業日に発表)16:00発表
この統計では店舗全体の売上高、店舗数、来店客数、平均客単価などが把握できます。
コンビニエンスストアは、季節ごとの商品の移り変わりが激しく、月ごとで売れ筋商品の構成比がガラリと変わってしまうことがあります。そのため、前年同月比の増減率を確認し、過去の同じ時期と比較することがポイントです。
コーヒーマシンなどの機材を作る企業にも注目
コンビニエンスストアの統計全体の動向の他、注目すべきは「商品構成比および売上高前年同月比」という項目です。コンビニで扱われている商品の売れ筋を捉えるのに利用します。
2015年9月度の調査月報では、日配食品が構成比36.5%と最も大きく、売上高は前年同月比の3.1%と上昇しています。
日配食品の中身については、統計に記されている商品構成表で確認できます。カウンター商材(コーヒー、揚げ物、中華まん等)、米飯類(おにぎり、弁当、寿司等)、パン、調理麺、生菓子、サラダ、デザートと細かく分類されています。
日配食品の中で、2015年の春先から目立った伸びを見せているのがコンビニのレジ横で販売しているドリップコーヒーです。中でもセブン&アイ・ホールディングス(3382)では、ドリップ式にこだわったセブンカフェの売れ行きが好調でレジ横のドーナツも人気です。
セブン&アイ・ホールディングスのコーヒーマシンやドーナツケースを手がけるのが、富士電機(6504)です。セブン&アイ・ホールディングスとコーヒーマシンを共同開発し、本格的な入れたてコーヒーを実現。これが大ヒットにつながった背景があります。
富士電機はカップ式の自動販売機において国内で圧倒的なシェアを誇っていますが、食品流通部門でも伸びを見せています。また、2015年夏に江崎グリコ(2206)と共同開発したアイスカフェラテの新商品も投入し、消費者ニーズをうまく取り込んでいます。
このように、気になるニュースやデータを見つけたら、影響がありそうな企業も同時に調査を進めていくのがポイントです。
実際に、セブン&アイのドーナツ販売が報道された際、ドーナツケースを手がける富士電機が買われる一方で、ミスタードーナツを経営するダスキン(4665)は、売上が落ちるとの思惑から株価が下落しました。
ニュースから連想ゲームのように、様々な背景を想像しながら相場を見ることも大切です。