資産20億円大家が「失敗した」と思ったエピソード
インターネット全盛の時代といっても、それがすべてではない。大家さんにとって、自分の所有する賃貸住宅の入居者からくるクレームや要望を聞く耳をもち、それを経営に活かしていくことは、大家さん業の基本であり、それはいまもまったく変わっていない。
たとえば入居者の契約期間が満了して退去が決まったときは、入居者にアンケートをとって、退去の理由や入居中の不満などを具体的に引き出すようにしたい。そもそも退去理由が転勤や結婚など、大家さんにとって防ぎようのない理由かどうかは、つぎの入居者を募集する際にも重要だ。
これがはっきりしないと募集戦略もたたない。入居中は、はっきりいってくれない入居者も、退去時には正直に不満を口にしてくれる場合も多いので、このチャンスを逃がすのはもったいない。
たとえば私が印象に残っているのは、あるマンションで収納の少なさへの不満が多かったことだ。1DKがとれる大きさの部屋を、好みの家具がおけるように、あえて広めワンルームにしたのだが、それが裏目にでた。
「もう少し狭くなってもいいから、収納はほしかった」
「家具はあまり持ちたくないので、細かな収納があるとよかった」
こうした声が多く、その後は居室はもちろんリビングやトイレ、洗面所にも簡単な収納をつけるようにした。かなり前の話だが、最近では収納の多さは、単身者用のマンションでは必須のアイテムになっている。
成約の決め手となるのは「内覧時の好印象」
ポータルサイトで得られる情報は確かに部屋を選ぶ際に重要だが、インターネットでは伝わらない重要なこともある。それはマンションの外観とか共用部の印象など、実際に希望する部屋を内覧したときの印象だ。
ポータルサイトが提供する情報がいくらきめ細かくなっても、その情報だけで契約してしまう人はいない。最終的に成約に結びつくのは、内覧時の印象だ。
内覧時の印象をよくするには、まずは外観や共用部の美化維持を徹底することだ。私は不動産会社を通して専門の巡回スタッフに依頼してマンションの外観に痛みや汚れがないか定期的にチェックしてもらっている。
また入居者への情報提供や注意喚起のために掲示した印刷物が古くなったり汚れたままになっているのは、第一印象を悪くする。古くなったアパートで、いつはられたかもわからないような印刷物がヒラヒラしているのを見かけることがある。あれは大家さんのやる気のなさを象徴しているようで、ほんとうにいただけない。
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町田 泰次
株式会社町田工務店 代表取締役社長
大阪市出身。高校卒業後、父親が創設した町田工務店に入社。昼間は現場で働き、夜は夜間の大学に通い建築を勉強しながら、一級建築士の資格を取得。平成3年町田工務店の社長に就任した際に、パートナーや回りの人たちの大切さを実感。以来、実際に住まわれるお客様の顔が見える仕事を一層大事にし、そんなお客様に喜んでいただけることを日々の仕事の励みや喜び、やりがいとする。 安心安全はあたりまえ。「大切な家族を育む家づくり」「人と地球にやさしい家づくり」「次世代へ引き継ぐ家づくり」。そんな『こだわりの暮らし』を追求する。
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