いまや「大家業」にポータルサイトは必要不可欠
基本的に昔も今も大家さんが気を配るべき点や注意するべき点はかわっていない。だが、ひとつだけ大きく変わった点がある。それはインターネットの普及で、賃貸住宅をとりまく情報環境が大きくかわったことだ。
昔は賃貸住宅の入居者募集は、駅前の不動産屋(あえてそう呼ばせてもらう)の仕事だった。部屋を借りたい人は、住みたい場所を決めたら最寄りの駅前にある不動産屋へいき、条件を告げて物件を紹介してもらっていた。
それが大きく変わるきっかけとなったのは首都圏や関西圏で直接ユーザーに不動産情報を届ける不動産情報誌が創刊されたことだった。これによって入居希望者は、いろいろな場所で好みの賃貸住宅を手軽にさがせるようになった。
これがインターネット時代の到来でさらに進化して、現在のスーモやホームズなどの大手不動産情報ポータルサイトになったわけだ。
いまや大家さん業をやるには、こうしたポータルサイトは入居者の募集だけでなく、いろいろな面で不可欠の存在になっている。
ポータルサイトでは入居希望者の動向が詳しく分かる
こうしたポータルサイトは、いまや入居者募集のツールとしてだけでなく、大家さんが自分の賃貸住宅を経営する際に必要な、さまざまなデータを与えてくれる。大家さん業をやっていくうえで欠かせない便利なツールになっているのだ。私も重宝している。
カメのようにゆっくりと歩きながらも、ウサギのように耳を大きくして情報はちゃんとキャッチするのが、賢い大家さんである。
たとえば大家さんにとって気になる空室率なども、全国平均や各自治体毎の平均はもちろん、もっとこまかく調べることもできる。ポータルサイトによっては入居希望者があるエリアの不動産情報をどれだけ見たか10段階で表示している。さらに大家さんが不動産会社を通して頼めば、自分の物件に関連するもっと詳しい情報を提供してくれる場合もある。
こうした情報を利用すれば、たとえばあなたの物件のある地域の空室率をかなり正確に試算できるので、より正確な家賃設定にいかすことができるわけだ。こうしたデータをあなたのパートナーとなる不動産会社と共同で利用すれば、あなたの賃貸住宅がターゲットとする市場のより正確な分析が可能になる。
「検索エンジンでのひっかかりやすさ」が重要
いま私が1棟マンションの新築を企画したり、リフォームを計画する際に、もっとも意識しているのは、こうした大手不動産ポータルサイトの検索エンジンにいかにひっかかりやすいものをつくるかということだ。
ポータルサイトで入居希望者が物件をさがす場合、自分の希望する物件条件を検索用チェックボックスに入力する仕組みになっている。あなたの賃貸住宅が、このチェックボックスの項目に該当する機能やサービスを持っていればいるほど、検索エンジンにひっかかる確率が高くなる。つまり入居希望者の目に触れる確率が高くなるのだ。
したがっていま目端のきく大家さんはみな、ポータルサイトの検索用チェックボックスを頻繁にチェックして、チェックボックスに新たな項目ができれば、それに即対応する用に設備を更新したりサービスを追加している。ポータルサイトを意識した設備のグレードアップや条件設定は、多くの入居希望者に自分の賃貸住宅を見てもらう上で必須の条件になっているのだ。
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