年収400万円の26歳男性が「家賃滞納」…「怖くなっちゃって。」どうしようもならない状況に、83歳の高齢大家は司法書士へ助けを求めた

年収400万円の26歳男性が「家賃滞納」…「怖くなっちゃって。」どうしようもならない状況に、83歳の高齢大家は司法書士へ助けを求めた

コロナ感染拡大の影響によって雇止めにあい、家賃が払えなくなってしまった事例が相次いでいます。※本記事では、OAG司法書士法人代表の太田垣章子氏の書籍『不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方』(ポプラ社)から一部を抜粋・編集し、実際のトラブル事例を紹介していきます。

家賃を「半年以上滞納」することになった恐ろしい原因

どちらに転ぶにしても、滞納状態の入居者は何とかしなければなりません。せっかく物件まで来たので、2階に住む入居者を訪問してみました。

 

カンカンカンと足音が鳴る階段を上がると、奥の部屋が滞納している男の子の部屋です。今どきインターホンもありません。ドアをノックしたら、隣の人が反応しちゃうんじゃないかと心配になりながら、部屋の中からの反応を待ちました。

 

「はい……」

 

日曜日の昼下がり、若い男性はこの古い木造アパートにいました。中から出てきたのは、純朴そうな目をしたまだ幼さの残る男性でした。

 

「家賃のことで大家さんから依頼されて来ました。少しお話しできますか?」

 

せっかく会えたので、場所を変えようと私たちは駅前のカフェで話をすることにしました。男性の名前は西山了くん。どうやら今は仕事をしていないようです。第一印象のままの、誠実な語り口でいろいろ話してくれました。

 

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僕が鬱病になるなんて、思ってもなかったです。どちらかと言うと、年齢の割には、けっこう稼いでたんですよ。年収も400万円ほどありました。だから僅かだけど実家に仕送りもしてました。親ももともと裕福ではないので。

 

仕事はITです。18歳で四国から東京の専門学校に通って、その時から今のアパートで。もっと新しい部屋に引っ越そうと思うこともあったけど、1階におばあちゃんがいるこの部屋が落ち着いたから。

 

でもそれなのに家賃払えてなくてすみません。コロナが騒がれ出した頃から、仕事がすごく忙しくなったんです。もともと夜も遅かったけど、仕事量が半端なくて。世の中が急にリモートワークとか騒がれるようになったでしょう? 社長は俺らの時代がきたって、ばんばん仕事とって来るんですよ。

 

とにかく忙しくて、休みなんて取れる状態じゃなかったんです。でも一方で、連日コロナ感染者の報道があるじゃないですか。なんか僕、怖くなっちゃって。社長はコロナなんて風邪だって。体調悪くても、気合だって。

 

これじゃコロナに感染しても、仕事休める雰囲気じゃないなって。だから妙に神経質になっちゃって。電車乗るのも怖くなっちゃったんですよ。もともとリモートワークとかもしていたから、自宅で仕事するようになって。

 

そうしたら朝のニュースとか観ちゃうんですよ。感染者数がどんどん増えて行って。どんな風になるのかも分からないし。志村けんさんが亡くなったじゃないですか。もう怖くて、怖くて。

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そして気がついたら仕事ができる状況ではなく、会社も解雇されてしまったということでした。

 

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不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

不動産大異変:「在宅時代」の住まいと生き方

太田垣 章子

ポプラ社

著者は、20年にわたり2500件以上の不動産トラブルを扱ってきた異色の司法書士。 業界紙・業界誌などでの連載や「家賃滞納という貧困」「老後に住める家がない!」などの著作を通じて(ともにポプラ新書)、業界では知らない人…

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