年金財政の悪化、終身雇用制度の崩壊、インフレ……様々な社会的背景により、公的年金だけで豊かな老後を過ごすことは難しくなってきています。しかし、正しい方法を知って家計の見直しや資産運用に取り組めば、老後資金は貯めることができます。今回は、「生命保険料控除」を活用した節税方法です。※本連載は、石田昇吾氏の著書『人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

生命保険料控除を使った節税金額のシミュレーション

この場合の節税効果を計算してみましょう。年収600万円で税率が所得税20%、住民税10%の方で介護医療保険対象の保険に加入、月々1万円加入した場合(復興特別所得税は考慮なし)、

 

所得税
年間支払額:12万円
所得税控除上限額:4万円
控除税額:4万円×20%=8千円

住民税
年間支払額:12万円
住民税控除上限額:2万8千円
控除税額:2万8千円×10%=2千800円

合計:①+②=1万800円

 

このように、年間12万円の生命保険料の支払いに対して、約9%にあたる1万800円の税金が減額される形になります。税率が高い人は、さらに減税効果があります。

 

ただし、所得税率が変わらないという前提で考えると、毎年払い続けても、還付される税金は、毎年1万800円なので、利回りという観点で計算をするとそれほどの運用成果にはなりません。また、控除の上限が決まっているので保険料を増やしても減税額は増えません。月々1万円のプランが最適です。

 

しかし、資産を増やす方法はたくさんあっても、税金を取り戻す方法は数少ないので、ある程度資金に余裕があって銀行口座に資金を眠らせておくのであれば、最少額の加入で税金の還付を受ける方法も検討してみてください。

 

資金に余裕があれば、将来の解約時に増えて戻ってくる保険に加入して、この3つの枠をうまく埋めて、少しでも多くの税金を取り戻してください。

 

石田 昇吾

クライサー税理士法人 代表税理士

株式会社TAXプラス 代表取締役

 

 

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本連載は、2019年10月25日刊行の書籍『人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策

人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策

石田 昇吾

総合法令出版

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