年金財政の悪化、終身雇用制度の崩壊、インフレ……様々な社会的背景により、公的年金だけで豊かな老後を過ごすことは難しくなってきています。しかし、正しい方法を知って家計の見直しや資産運用に取り組めば、老後資金は貯めることができます。今回は、生命保険を選ぶときの注意点です。※本連載は、石田昇吾氏の著書『人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

保険は「保障」と「積立」を区別して考えるべき

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

保険はあくまでも「いざというときの備え」なので、積極的な資産運用のツールとは異なった性質を持っているものと考えてください。不幸にして保険の支払い事由となる事故が起こったときに、初めて資金として地上に出てくるイメージです。保険には、

 

①保険期間分の保険料を払いっぱなしにする掛け捨てタイプ

②保険料の一部が運用に回される積立タイプ

 

の2種類があります。この2種類があることが、多くの人に混乱を生じさせているように思います。

 

①掛け捨てタイプは「(いざというときの)保障」だけを目的としたものです。②の積立タイプは「保障+投資信託等の運用で増やす」という二層構造になっています。

 

よく見られるのが、「掛け捨てタイプの保険はお金が戻ってこないから損」「積立タイプの保険は、後からお金が増えて戻ってくるから得」という誤解です。

 

②の保険を分解していくと、掛け捨て部分は①と同じ、それに「積立部分」がプラスされている分、保険料が高くなっています。つまり、「保障」+「運用」という仕組みになっています。

 

積立タイプの保険には「解約返戻金」という、その名の通り「解約したときに戻ってくるお金」がありますが、それこそが「積立部分」です。しかも、保険の場合、加入したときから積立部分の運用利回りが決められています。この運用利回りは、驚くほど低く設定されています(【図表】)。

 

【図表】米ドル建て個人年金保険・解約返戻金

 

積立部分の運用は保険会社が行うため、その分の手数料が含まれています。ほとんどの保険会社ではその手数料が何%かを公表してはいませんが、けっこうな割合のようです。したがって、今の時代にあっては積立タイプの保険にはメリットが少ないのです。

 

保険に入るのであれば、原則は「掛け捨て」であり、資金を増やしたいのであれば別の方法を選ぶべきです。「保障」は「保障」、「運用」は「運用」と区別して考えるべきです。まずはそれを心に留めておいてください。もう一度、繰り返します。

 

《生命保険加入の原則》
・掛け捨てタイプを選ぶ
・積立タイプは選ばない(終身年金保険を除く)

 

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