年金財政の悪化、終身雇用制度の崩壊、インフレ……様々な社会的背景により、公的年金だけで豊かな老後を過ごすことは難しくなってきています。しかし、正しい方法を知って家計の見直しや資産運用に取り組めば、老後資金は貯めることができます。今回は、「生命保険料控除」を活用した節税方法です。※本連載は、石田昇吾氏の著書『人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策』(総合法令出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

「生命保険料控除」の枠を使い切って節税する方法

(※写真はイメージです/PIXTA)
保険料の控除は、確定申告や年末調整で行う(※写真はイメージです/PIXTA)

 

生命保険はいざというときの備えであるべきなので、まずはその備えをします。

 

・一家の大黒柱については、掛け捨ての死亡保障をつける
・積立型は基本的に不要だが、終身型個人年金保険は長生きリスクの備えになる

 

これが、筆者の考える「二大備え」です。これで、死亡と長生きリスクへの備えができます。

 

では、病気やケガへの備えはどうかというと、公的健康保険でかなりの部分がまかなえるので、あえて掛け捨ての医療保険に入る必要はないと思っています。それよりは預貯金に励むべきでしょう。

 

また、養老保険、教育保険などの積立タイプの保険、必要になるかならないかわからない介護保険は加入する意味がないので、その分を預貯金や投資に回すべきということになります。

 

◆生命保険医療費控除の「枠」を使い切ろう

資金にある程度の余裕がある方は、生命保険料控除の枠を使い切ることを考えましょう。

 

今、筆者は「掛け捨ての医療保険に入る必要はない」と言いましたが、例外的に「解約返戻金のある医療保険」はここで使えます。こういう言い方では漠然としてよくおわかりにならないと思うので、具体的な商品名をあげましょう。

 

大同生命の無配当総合医療保険(保険料払込中無解約払戻金型)という医療保険です。契約日が2011年12月31日以降の保険契約から、所得税の生命保険医療費控除には、一般・個人年金・介護医療という枠が設けられ、それぞれ4万円の所得控除が受けられることとなりました(図表1)。

 

[図表1]生命保険料控除制度

 

筆者の考えでは、まず掛け捨ての定期保険(死亡保険)で一般枠の4万円を埋めます。次に終身型個人年金保険で年金保険枠の4万円を埋めます。最後に空いているのが介護・医療保険枠の4万円です。これを、無配当総合医療保険に入ることで埋めるというわけです。

 

この医療保険は65歳になると、年齢にもよりますが、支払った保険料の140%前後が戻ります。こうすることで、一般4万円、年金4万円、介護・医療4万円、合計12万円の生命保険料控除の枠が全部埋まりました。ただし、この商品は中途解約ができないので注意して下さい。

 

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本連載は、2019年10月25日刊行の書籍『人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策

人生100年時代の着実なお金の作り方 最も堅い資産形成術と税対策

石田 昇吾

総合法令出版

書店には資産運用に関する多くの書籍が並んでいます。 しかし、すぐにお金が貯まるかのような幻想を抱かせたり、「株」「不動産」と特定分野に偏っていたりします。 本書は投資初心者にもわかるよう、中立・包括的な資産運用…

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