地元の縫製工場に持ち込むも、対応は「けんもほろろ」
筆者が日々の試行錯誤から生み出した「ヒットの法則」、それは「試作百遍! 手持ちリソースを総動員してユーザーが求める商品を極限まで作り込む」です。言い換えると「人の輪が商品力を倍増させる」ということです。
満点スリップの原案が固まった2003年、筆者はついに製品化へと踏み出しました。個人事業主の縫製職人に頼む方法もあったのかもしれませんが、それではまとまった数がそろうまでに時間がかかってしまいます。そこで地元の縫製工場に声を掛け、依頼することにしました。
気仙沼の主要産業は漁業・水産業ですが、実は、近隣にはいくつも縫製工場がありました。いまでは皆無に等しくなってしまいましたが、最初は「どこかは引き受けてくれるだろう」と高をくくっていました。ところがいざ工場に足を運んでみると、次から次へと断られてしまったのです。
なぜなら、筆者の話はあまりにも訳が分からないものだったからです。まず、決まっていたのは使用する材料だけでした。和装だというだけでも、どの縫製工場も嫌がりましたが、発注は単発のうえ、複数サイズなのにたったの200枚程度。
これは、大手はもちろん小規模の縫製工場にとっても小さな案件です。しかも、その和装肌着の一部に収縮率の違う防水布を縫い付けるという面倒なものです。けんもほろろとはこのことかと思いました。
和裁士が紹介してくれた工場が「面白そうだね」と…
そんななかで、和裁士さんから紹介された一つの縫製工場が面白がってくれました。「へぇ、面白そうだね。本当にうちの仕事の合間でいいなら、縫ってもいいよ。じゃあ、パターンと仕様書をちょうだい」と言われて初めて、そのようなものが必要なんだと知ったほど、筆者たちは素人でした。
その縫製工場の社長さんは無知な筆者たちにあきれながら、それでも乗り掛かった舟とばかりに、手取り足取り教えてくださったのです。パターンの作成も知り合いに頼んでくださり、糸やケアラベルなどほかにも必要なものも教えてくれました。想像するに、そうして手を掛けてくださるうちに、筆者の会社の試作品に愛着をもってくださったように感じました。筆者たちはその方にとって、よちよち歩きで目が離せない赤ちゃんのような存在だったのかもしれません。
筆者たちは、まさに怖いもの知らずでした。試作品をつくるためにこれほどの手間がかかると知っていたら、もしかしたら挑戦していなかったかもしれないと、やっと一枚仕上げたときに頭をよぎったものです。
知らないことを面白がる、もしくは恥ずかしいなんて思わない強さがあれば、きっと知らないまま突っ走るのも悪くないのかもしれません。
人との出会いに恵まれたこと、振り返ればそれがすべてだともいえます。これこそ単なる偶然ではなく、日々の小さな誠意や感謝の連なりのうえにあるのだと確信をもっていえます。思いを研ぎ澄ますことが人とのご縁をつないでいるのです。
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