(※写真はイメージです/PIXTA)

米国株投資も、基本を押さえれば手堅く収益を上げることが可能です。長期投資のメリット、為替への目配り、収益への課税の考え方、NISAの活用術等の重要なポイントを見ていきましょう。※本記事は、マネー誌への執筆を中心に活躍するライター・安恒理氏の著書、『はじめての米国株1年生』(明日香出版社)から一部を抜粋・再編集したものです。

購入時の為替によって、コストにも「大きな差」

米国株の価格表示は米ドルで、もちろん購入するのも米ドルです。ただ日本の証券会社を通して米国株を購入するときは日本円でも購入できます。その際、証券会社では片道およそ25銭のスプレッド※1が徴収されます。もちろん、あらかじめ米ドルを用意しておき、買付代金にあてることも可能です。

 

※1 買値と売値の価格差のこと。為替取引においては、通貨を売るときの「売値」と買うときの「買値」の2つの為替レートがあります。

 

ここで注意しておきたいのは、為替の問題です。円高のときに米国株を購入するか、円安のときに購入するかもコスト面で大きな違いが出るからです。

 

たとえば1ドル90円と1ドル110円のときとを比較してみましょう(下記図表参照)。

 

 

購入するときは、円高時に米国株を購入するのが有利ということになります。ただ、いざ購入しようとするときにかなり円安が進行していることも考えられます。そのため、あらかじめ円高水準と判断したときに、米ドルに交換して準備しておくといいでしょう。

 

為替の問題は、購入時だけではなく売却時も同様のことがいえます。

 

売却した代金はそのまま米ドルのまま証券口座に残しておくか、日本円に交換するか考えなければいけません。円に交換する際は、より円安水準のときが手取り金額が増えることになります。

 

株価の推移とあわせて、ぜひ為替の動きにも気を配ることが大切なのです。

「値幅制限」がなく、想定外の値動きをする点にも注意

日本の株式市場では、一日の株価の変動幅(値幅)が決まっていて、一定以上の変動はできなくなっています。あまりに買われ過ぎると値幅上限の価格に張り付いて「ストップ高」となり、その営業日はそれ以上の価格では取引されません。逆に売られ過ぎても一定価格以上の値下りはなく、「ストップ安」となってそれ以上は下がりません。

 

ところが、アメリカの個別株にはこうした値幅制限がありません。そのため、1日で想定外の値動きをすることもあります。

 

 

その代わり、市場全体で一定以上の価格下落が起きた際に、取引所全体が取引を一時的に停止させることがあります。これを「サーキットブレーカー制度」といいます。

 

NYSE(ニューヨーク証券取引所)をはじめ各証券取引所に適用される制度で、下記のような状況になったときに発動します。

 

 

2013年に策定(改定)されて以降、2020年3月にはじめて発動しています※2

 

※2 現行制度になってはじめて発動した2020年3月9日以降、同月12、16、18日と短い期間で立て続けに発動しました。「コロナ・ショック」がいかに激しい値動きだったかを物語っています。

 

サーキットブレーカーが発動されたとき、取引所からは注文が取り消されますが、そのまま注文そのものが失効するケースもあります。

 

なお、レベル3発動以降の新規注文(価格訂正、注文取消含む)は受付されないのが普通です。

 

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