(※写真はイメージです/PIXTA)

米国株投資も、基本を押さえれば手堅く収益を上げることが可能です。長期投資のメリット、為替への目配り、収益への課税の考え方、NISAの活用術等の重要なポイントを見ていきましょう。※本記事は、マネー誌への執筆を中心に活躍するライター・安恒理氏の著書、『はじめての米国株1年生』(明日香出版社)から一部を抜粋・再編集したものです。

「利益(譲渡益)」「配当」への税金はどうなる?

日本株投資では、株式の売買によって得た利益(譲渡益)には、税金がかかります。

 

米国株の場合、租税条約によって、米国内では課税はされません。その代わり日本国内で課税されます。税率は年間通算損益の20.315%で、日本株と同率です。

 

 

一方、配当金に対してはどうでしょうか。こちらは支払われた配当金に対して、日米で二重課税になります。

 

現地での課税分10%がかかるうえ、国内での課税分20.315%が現地で課税されたあとの額に対してかかってくるのです。

 

ただし確定申告をすれば、現地での課税分を国内の所得税や住民税から控除するかたちで戻されます(外国税額控除)。

 

 

さらに譲渡益税分、配当課税分は、やはり確定申告によって株式の売却益と損益通算させることができます。

 

もし売却益などと損益通算をしきれない損失分があれば、確定申告によって損失を3年間繰り越すことも可能です。

 

なお外国株の売却には、株式そのものの利益(損失)のほかに、為替の差益(差損)もあります。この為替差損益も含めた円ベースでの損益を「株式の売却益」とするのです※3

 

※3 特定口座であれば自動で損益計算がされますので、とくに手続きはいりません。

米国株もNISA(少額投資非課税制度)の対象!

NISAも使える株式投資において売却益(譲渡益)が出たり、配当金を受け取ると税金がかかりますが、この利益に対して、一定の非課税枠が設定された制度があります。

 

この制度を「少額投資非課税制度」(NISA・ニーサ)といいます。

 

NISAには下記の3種類がありますが、ここでは一般的なNISA(一般NISA)について、その仕組みを説明します。

 

制度名に「少額」とあるように、投資額が1年あたり120万円が上限となっており、その金額内の投資に対しての譲渡益・配当金に対しては非課税になります。利益はどれだけ多くても、上限はありません。

 

期間は5年間なので最大120万円×5年で最大600万円の投資額に対する利益が非課税になります。

 

 

米国株もこのNISAの対象となり、およそ20%の税金が非課税になるので、使わない手はありません。投資額に制限があり、譲渡益には制限がないので、できるだけ長期投資で大きな利益が発生したときに使いたいものです。

 

ただしNISA口座は一人あたりひとつの証券会社でしか開設できません。大きな利益を生み出す銘柄の取引を行なう証券会社でNISAを使いたいところです※4

 

※4 少額の利益を積み立てるデイトレで使っている証券会社ではうま味が少なくなります。

 

安恒 理
オフィスミックスナッツ代表
現代ビジネス兵法研究会

 

※本記事は特定の銘柄の取引を推奨するものではありません。また、売買による損失について、執筆者、出版社は一切その責を負いません。投資はご自分の判断でお願いします。

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