(※画像はイメージです/PIXTA)

競争の苛烈さで知られている「美容業界」へ飛び込んだ、証券会社元ディーラー。なんとか軌道に乗せた美容室経営も、コロナ禍で一変。度重なる緊急事態宣言の発令で客足が戻らない。日に日に経営状況が悪化し、従業員に支払う給料も危ぶまれるなか、取引先の金融機関の返事は無情なものだった。しかし、そこで唯一見えた光とは…。

緊急事態宣言発令で、美容室の予約も「白紙」に

最悪の事態を覚悟はしていたのだが、4月、実際にそれは現実のものになった。

 

緊急事態宣言が発令されて、街中からほぼ完全に人の姿が消えた。

 

梅田も、難波もゴーストタウンだ。もちろん美容室の予約も真っ白である。

 

「本当に厳しいなあー、なんとかキャッシュを集めないとスタッフの給料払えないよね」

 

筆者が呻いていると平山さんが言った。

 

「4月はどうにかなると思います…。問題はいつまで続くかですね」

 

「休業補償で休んでもらうしかないですね…。手続き調べといてください。あと、融資は?」

 

「2件、申し込んできました。8000万円ずつ。通常なら2週間くらいで下りるんですけれど、とにかく人がいっぱいで、2時間待たされましたが、ろくに書類も確認されませんでしたからね。あれで受理されているのか、一体いつ下りるのか…」平山さんの声にも力がなかった。彼もかなり疲れているようだ。

 

4月は大阪の南エリアにある難波店、namba+店、心斎橋店の3店舗については、スタッフを難波店に集め、あとの2店舗は4、5月を休業にした。福岡には、天神店とFUKUOKA 店の2店舗があるので、スタッフを天神店に集めてFUKUOKA店を4月だけ休業した。

 

その他の店舗のスタッフにも休んでもらい、彼らには雇用調整助成金を申請した。どの店にもほとんどお客様は来ず、このときは本当に苦しくて夜眠ることができなかった。

「倒産=全て終わりじゃない!」SNSで発信し続け…

こんなことになるなんて。世界中の経営者のうち、一体誰が予想していただろう。でもリーマン・ショックのときも誰も予想できなかった。リーマン・ブラザーズが沈んでいくその渦に、多くの企業が一緒に巻き込まれていった。

 

未来になにが起こるかなんて、誰にもわからない。わからないなかで少しでも確率の高い勝負をして、生き残る確率を上げる。それしかない。なにもしなければ4月の赤字は5000万を超えるだろう。融資には期待しているが、満額下りる保証もない。生き残るために、とにかく動かなければ!

 

〈経営者の、気持ちを強く持ちましょう。思いつめすぎない。最悪倒産しても自分なら再スタートできるという強い気持ちが大切。うつになる気もちもわかるけど命を投げない。倒産=全て終わりじゃない〉

 

筆者はツイッターで発信し続けた。同じように不安を抱えている経営者に。苦しんでいる同業者、異業種の人たちに。思い詰めずに、諦めずに。コロナの不安の渦に巻き込まれないように、みんなで声を掛け合って、手を取り合って、なにかできることを探していこう。みんなでアイデアを出して、なんとしても生き残る!

 

 

山下 拓馬

OXY株式会社 代表取締役

 

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よそ者経営

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山下 拓馬

幻冬舎MC

大手上場企業の安定から飛び出し個人投資家へ転身。 未経験の美容業界でオープンした美容室CIELは、設立5年で全国30店舗を展開する急成長を遂げた。 その成功の歩みから未来への展望まで、すべてを語り尽くす――。 第1章…

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