(※写真はイメージです/PIXTA)

老後資産の作り方に正解はなく、年齢や貯蓄額、年金額などによって異なります。そのため、資産内容を把握し、家計に応じて対策を練る必要があります。今回は、大企業に勤める59歳の会社員を例にあげ、老後対策について考えます。※本連載は、大江英樹氏の著書『いつからでも始められる 一生お金で困らない人生の過ごしかた』(すばる舎)より一部を抜粋・再編集したものです。

59歳、定年退職間近の大手企業サラリーマンによる事例

大手企業に勤める59歳のサラリーマンAさんの例です。これは正直言って、かなり恵まれているケースだと思います。ただ、不安な要素もあるので、それをカバーするには、少し今までと発想を変えていただくことが必要ではないかと思います。まずは前提条件を見てみましょう(図1)。

 

【図1】59歳Aさんの例

 

この年齢では典型的な大企業勤務の管理職と言って良いでしょう。妻もパートで働いていますが、自分で社会保険を払わなくても済む範囲内で働いているようです。公的年金は厚生労働省のモデル年金額よりも少し多いぐらいです。

 

さらに勤め先には「退職一時金」と「企業年金」の両方があり、自分で現在保有している金融資産は1500万円です。では、こういう場合はどんな対策を考えれば良いでしょうか。

老後対策…公的年金を繰下げた場合の働き方がカギ

①公的年金は夫婦ともに70歳まで繰下げして受給する

この場合は企業年金があるので、他の多くの人と比べるといくらかは有利です。しかしながら企業年金は20年有期ですから80歳で終了します。その後の生活を考えると夫婦ともに70歳繰下げ支給にすることで公的年金は月額34万円くらいになります。

 

70歳〜80歳までは企業年金も含めると月額40万円を超えますから、そこから税や社会保険料を引いても生活にはかなりゆとりができるでしょう。

 

②夫は最低65歳まで、できれば70歳まで働く

65歳までは再雇用制度で働くことができるでしょうから、最低限それは利用すべきですが、できれば70歳まで働くことを考えたほうが良いでしょう。

 

その理由は、公的年金の繰り下げをするのであれば、65歳〜70歳の5年間は何もせずに支給されるのは企業年金の7万円だけだからです。したがって、できれば退職金や自分の金融資産を取り崩さずに置いておくには働いて得る収入が必要です。企業年金の額を考えると、最低月に15万円、年収では180万円ぐらいの収入は必要でしょう。

 

③妻は厚生年金に加入して65歳まで働き年金支給は75歳からとする

現在は第3号被保険者となっていますが、ここからはできる限り厚生年金に加入して働く方法を考えたほうが良いと思います。平均寿命を考えても妻のほうが長生きすることを考えた場合、ベースになる公的年金の金額を少しでも増やすために130万円の壁を意識せずに働いて手取りを増やしたほうが良いからです。

 

年金だけを考えれば、夫の遺族年金のほうが自分の厚生年金よりも多くなるでしょうが、自分が働いた分は生活費に回さず、将来に備えて蓄えておくこともできます。

 

それに75歳まで年金支給開始を遅らせた場合、基礎年金部分だけでも月額12万円近くなりますので、これに厚生年金が加われば、長生きしても妻の生活費部分は安心できるでしょう。

 

④退職一時金と金融資産は崩さずに温存する

退職一時金の1000万円と自分が持っている金融資産1500万円の計2500万円はできるだけ取り崩さずに温存すべきでしょう。

 

この場合は「個人向け国債変動10年」のような安全性の高いもので運用しておくべきだと思います。これだけの資金があれば、将来の医療・介護に対する備えとしては十分と言っても良いでしょう。

 

【ポイント】
ポイントとなるのは企業年金の部分でしょう。通常は公的年金だけで老後の日常生活費を賄うというパターンが多いのですが、この場合は企業年金が加わりますから、生活の安定度は高くなります。

ただし公的年金を繰下げするのであれば、企業年金だけで生活するのは難しいでしょうから、やはり長く働くというのがキーになるのではないでしょうか。

 

大江 英樹

株式会社オフィス・リベルタス 代表取締役

1級ファイナンシャルプランニング技能士

 

 

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