近年、「老後破産」や「下流老人」とう言葉をよく耳にするようになりました。定年後の暮らしに不安を抱く人は少なくないでしょう。「金持ち定年」になるか「貧乏定年」になるかの分かれ目は、リタイア前の準備にかかっています。これからどのように備えていけばよいのでしょうか? 資金計画を立てる第一歩として、まずは年金額から確認していきましょう。※本連載は、長尾 義弘氏、中島 典子氏の共著『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    貯蓄額に関わらず「高所得者」ほど老後破産のリスク大

    近ごろは、「老後破産」「下流老人」などという言葉もよく耳にします。長寿の時代とあって第二の人生を楽しむ時間が増えるのは嬉しい反面、長生きする分お金も必要になります。高齢者の生活苦は、いまや深刻な社会問題の1つです。

     

    老後破産を引き起こす原因としては、次のようなものがあげられます。

     

    ●中高年からの思わぬ収入の減少
    ●医療費がかさみ、蓄えがなくなった
    ●金銭感覚を変えられず、収入に見合わない生活をした
    ●子どもが面倒を見てくれなかった
    ●退職後も住宅ローンが残った
    ●退職金が思ったより少なかった

     

    これらは誰にでも起こりうる問題ですが、みながみな「貧乏定年」になるわけではありません。

     

    「そりゃあ、蓄えが豊富な人は困らないだろう」と思いますか。じつは、明暗を分けるもっと大きなポイントは、お金を計画的にコントロールしているか否かにあるといえます。

     

    意外なことに、収入が少なくても生活を切り詰めながらやりくりできていた人は、定年後もあまり困窮しません。逆に、現役時代に年収が1000万円を超え、生活が派手だった人ほど貧乏定年になりやすいのです。

     

    彼らは節約とは無縁の暮らしを送ってきました。定年後に収入がガクンと下がっても、おいそれとはギャップに対応できません。いままでと同じようにお金を使いまくっていたら、毎月大赤字になって当然です。

     

    たとえば、年金が年額で300万円、貯蓄が5000万円あるとします。これほど潤沢な資金があれば、普通はゆとりのある暮らしができます。

     

    ですが、1年間に800万円を使い続けたらどうなるでしょう。毎年500万円が貯蓄から出ていくのですから、10年しか持ちません。あとは年金300万円だけの生活になります。

     

    ライフスタイルを見直せばなんとか暮らしていけるでしょうが、現役時代の金銭感覚を変えられず、老後破産に至るケースは多いのです。

     

    もっとも、収入の多寡に関係なく、この心理はどなたにも当てはまります。長年維持してきた生活レベルは、そう簡単には落とせません。

     

    だからこそ、早めに現状を把握し、対策を立てることが大切になってきます。足りない分を積み上げる、無駄を省くなど事前に手を打っておくことができれば、老後破産は避けられるはずです。

     

    定年まで時間があるいまなら、まだ十分に間に合います。豊かなシニアライフを送るためにも、しっかりプランを練っていきましょう。

     

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    金持ち定年、貧乏定年

    金持ち定年、貧乏定年

    長尾 義弘
    中島 典子

    実務教育出版

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