(※写真はイメージです/PIXTA)

健康保険の切り替えは退職時に最優先で行いましょう。国民健康保険への加入のほか、退職前の健康保険にそのまま継続して加入できる「任意継続被保険者」という制度や、「特例退職者被保険者制度」、家族の被扶養者になるという手も存在します。それぞれの保険料や条件のメリット・デメリットを見ていきましょう。※本連載は、長尾義弘氏、中島典子氏の共著『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

退職前の健康保険を継続「任意継続被保険者」を検討

退職して最優先で行いたいのが、健康保険の切り替えです。保険証がなければ、全額が自己負担になってしまいます。

 

真っ先に国民健康保険が思い浮かぶでしょうが、選択肢は1つではありません。家計への負担にも差が出ますから、最も有利なものを選びたいところです。

 

すぐに再就職をしない、完全にリタイアする、または勤務状況により再就職先の健康保険に加入しないといった場合には、「任意継続被保険者」を検討しましょう。

 

任意継続被保険者は、退職前の健康保険にそのまま継続して加入できる制度です。国民健康保険と比べてどちらが得かは一概にはいえませんが、退職前の給与が高い人(おおよその目安は月給約40万円以上)は任意継続被保険者がお得になるケースが多いです。

 

国民健康保険は世帯単位で加入する制度で、前年の所得をベースに保険料が決定されます。退職前の高い給与を元に計算されるため、通常かなり高い保険料になります。

 

一方、任意継続被保険者はそれまで会社が負担していた分も支払うことになり、保険料は在職中の2倍になります。とはいえ、標準報酬月額は最高でも28万円程度となるため、給与の高い人ほど負担が少なくなるわけです。

 

任意継続被保険者を利用する際には、いくつか注意点があります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

まず、退職の翌日から20日以内に、自分で手続きを行わなければなりません。住所地の全国健康保険協会(協会けんぽ)の都道府県支部または健康保険組合に申請をします。手続きの期限が短いので気をつけてください。

 

なお、申請ができるのは「資格喪失の前日までに、継続して2ヵ月以上の被保険者期間がある」という要件を満たした人に限られます。

 

保険料は全額自己負担、自分で納めます。協会けんぽの場合、保険料は各都道府県によって異なります。ただし、退職時の標準報酬月額が28万円を超えている人は、28万円となります。

 

毎月10日までに納めることになっており、納められないと資格を失ってしまいます。銀行やコンビニで払えますが、口座振替にしておけば払い忘れの心配がなく安心です。

 

このように毎月支払う方法のほか、保険料の前納制度もあります。保険料を事前に一括納付すると、1年で4%割引になるのです。

 

預金金利を考えたら、ずいぶんお得ですね。

 

年度の途中で任意継続被保険者となった場合は、資格を取得した日の翌月分から9月分(または3月分)まで納めることができます。資金面に余裕のある人は前納を活用したほうが有利です。

 

次ページ2年目は国民健康保険のほうが安くなるケースも
金持ち定年、貧乏定年

金持ち定年、貧乏定年

長尾 義弘
中島 典子

実務教育出版

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