退職金には所得税、住民税がかかる一方で大きな控除も存在します。必ず会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出しましょう。また、「退職から1年後にドーンとやってくる」住民税についても注意が必須です。住民税は退職した時期によって、納め方も変わってきます。定年一ヵ月前から準備したい、税金まわりについて解説します。※本連載は、長尾義弘氏、中島典子氏の共著『金持ち定年、貧乏定年』(実務教育出版)より一部を抜粋・再編集したものです。

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    退職金には「所得税と住民税」がかかるが控除も存在

    退職金はまとまった金額になりますから、あれに使おう、これに宛てようと、いろいろ計画を立てていると思います。ただし、全額が懐に入ると思ったら大間違い。退職金にも税金がかかってくるのです。

     

    かかる税金は「所得税」と「住民税」です。とはいえ、それほど心配はいりません。退職金には「退職所得控除」という大きな控除があるからです。退職金の税金は次のように計算します。

     

    (退職金-退職所得控除額)×1/2×税率=納める税金

     

    この退職所得控除はかなりお得です。勤続年数が20年以内なら「40万円×勤続年数」(最低80万円)を、20年以上なら「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」を退職金から控除してくれます。

     

    さらに、控除を引いた残りを2分の1にして税率をかけます。「控除」と「2分の1」のダブルの特典がありますから、退職金の税金はとても優遇されていますね。

     

    勤続年数は、原則として退職金を支払う会社で退職日まで継続して勤務した期間です。長期欠勤や病気での休職期間も勤続年数に含めます。勤続年数の1年に満たない端数は、1年に切り上げます。

     

    いままでに退職金をもらったことがある場合には、控除の計算が違うこともありますので注意しましょう。

     

    また、会社の役員等の方も要注意。役員等としての勤続年数が5年以下だと、その勤続年数に対する退職金には2分の1が適用されません。

    控除には「退職所得の受給に関する申告書」が必須!

    退職金をもらう前には「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出します。

     

    これは源泉徴収に関わる書類です。

     

    もし出し忘れると、退職金の20%(復興特別所得税を合わせて20・42%)が天引きされます。

     

    つまり、退職所得控除を受けないまま、税金を支払うことになるわけです。多くの税金が天引きされるので、手取り額が少なくなってしまいます。

     

    もちろん、払いすぎた税金はあとから確定申告で精算できますが、それまで時間も手間もかかることになります。

     

    書類はもれなく提出しましょう。会社からこの書類についての話がないときには、担当者に確認してみてください。

     

    退職金をもらったら、会社から源泉徴収票が発行されます。退職までの給与分の源泉徴収票とは別に受け取ることになります。

     

    金持ち定年、貧乏定年

    金持ち定年、貧乏定年

    長尾 義弘
    中島 典子

    実務教育出版

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