医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などもあり、近年、医学部人気が高まっているという。従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦し、全国の82医学部入試の難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。本文中に引用の医学部入試問題は執筆時の2015年の問題が中心となっています。

医学部入試は医師国家試験と類似の出題形式

たとえば、遺伝的多型やDNA鑑定に関する内容などが普通に出題されます。また、「光学顕微鏡では、どのくらいの距離を2点として認識できるか」というような詳細な数値を問う問題も、好んで出題されます。

 

これは分解能の定義で、普通にできる受験生は0.2マイクロメートルとすぐに答えられます。しかし、この問題では単位をメートルで書くよう指示があり、0.2マイクロメートルをメートルに変換せねばなりません。つまり、変換能力も問われているのです。そういう変換がパッとできる人が好ましいわけです。ちなみに、答えは2×10-7(10のマイナス7乗)メートルです。

 

いっぽう、数学の特徴を一言で言えば、数字は複雑でも答えがきれいな形をしている問題や解法のプロセスが美しい問題が好んで出題されていると、私は分析しています。

 

出題形式は、一部の私立大難関校は記述式ですが、多くはマークシート方式を導入しています。受験生が激増して、採点が大変だからかもしれません。

 

もっとも、一筋縄で解けるような問題ではありませんから、マークシートだから簡単、という単純な図式とはなりません。しかも、私立大のマークシートには大きな特徴があり、複数の正しいものや、逆に複数の誤りの組み合わせを選択肢のなかから選ばせる出題形式です。とても〝まぐれ〞や〝運〞で正解できるしろものではありません。

 

実は、これは医師国家試験と類似の出題形式です。医師国家試験に対する適性も、この時点で見ようとしているのかもしれません。

 

小林 公夫
作家 医事法学者

 

 

わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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