医学部入試は医師国家試験と類似の出題形式
たとえば、遺伝的多型やDNA鑑定に関する内容などが普通に出題されます。また、「光学顕微鏡では、どのくらいの距離を2点として認識できるか」というような詳細な数値を問う問題も、好んで出題されます。
これは分解能の定義で、普通にできる受験生は0.2マイクロメートルとすぐに答えられます。しかし、この問題では単位をメートルで書くよう指示があり、0.2マイクロメートルをメートルに変換せねばなりません。つまり、変換能力も問われているのです。そういう変換がパッとできる人が好ましいわけです。ちなみに、答えは2×10-7(10のマイナス7乗)メートルです。
いっぽう、数学の特徴を一言で言えば、数字は複雑でも答えがきれいな形をしている問題や解法のプロセスが美しい問題が好んで出題されていると、私は分析しています。
出題形式は、一部の私立大難関校は記述式ですが、多くはマークシート方式を導入しています。受験生が激増して、採点が大変だからかもしれません。
もっとも、一筋縄で解けるような問題ではありませんから、マークシートだから簡単、という単純な図式とはなりません。しかも、私立大のマークシートには大きな特徴があり、複数の正しいものや、逆に複数の誤りの組み合わせを選択肢のなかから選ばせる出題形式です。とても〝まぐれ〞や〝運〞で正解できるしろものではありません。
実は、これは医師国家試験と類似の出題形式です。医師国家試験に対する適性も、この時点で見ようとしているのかもしれません。
小林 公夫
作家 医事法学者