医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げ(東京女子医科大学など、現時点では数校値上がりしている大学がある)などもあり、近年、医学部人気が高まっているという。従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が続々参戦し、全国の82医学部入試の難易度が上昇している。では、どうすれば難関の医学部を突破できるのか。わが子の育て方、接し方から入試対策までを明らかにする。本連載は小林公夫著『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)から一部を抜粋し、再編集したものです。本文中に引用の医学部入試問題は執筆時の2015年の問題が中心となっています。

医師と患者の会話が英会話の問題として出題

日大医学部では、盗作について述べられた英文が出題されています。これは、最近、研究現場で問題になっているコピペ(コピー&ペースト)の実情を意識した出題と思われます。また、時代を反映してケアの必要性について記された英文が出題されました。

 

医者と患者の会話が英会話の問題として出題されることもあります。たとえば、

 

医師「今日は、検査結果について話し合いたいと思います」
患者「どうだったでしょうか?」
医師「実は悪いお知らせです」

 

などの会話文(実際は英会話文)を読んで設問に答えるケースです。

 

他にも、「医師の成功と失敗」、「家庭医療が持つ機能」など、多くが医学に関する英文で、それらをある程度スラスラと読みこなせないと、合格は難しいでしょう。

 

生物図表集の図を詳細に覚えていないと解けない問題

 

2015年2月、私が教えている医学部受験予備校の事務スタッフから、「昭和大医学部の生物で、とても変わった問題が出題されました」と言われました。

 

目を通してみると、「tRNAの図を描け。そしてアミノ酸の結合するところの暗号を結合部位の側から、アルファベット3文字で書け。また図中にアンチコドンの部位を示せ」という問題でした。

 

これはかなりの難問で、多くの受験生は完答できなかったのではないかと推測しています。たとえ偏差値が高くても、普通の勉強をしてきた受験生では得点できないでしょう。それくらい特殊なセグメントと言えるのです。

 

出題される領域が狭く、とてつもなく深い――それが私立医学部の入試問題の特徴です。ちなみに2問目の答えは「ACC」です。

 

このように、問題のなかには、医学部1年次の生物学か、あるいは生物学科の専門課程で学ぶような内容もあります。高校の生物の教科書の範囲をはるかに超えています。

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わが子を医学部に入れる

わが子を医学部に入れる

小林 公夫

祥伝社

近年、医学部志願者が急増しています。その要因として、医師という職業に対する安定志向の高まり、私大医学部の学費値下げなどがあげられます。これにより、従来からの医師家庭や富裕層にサラリーマン家庭が参戦。全国の82医学…

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