未曽有の低金利時代で「銀行預金」だとお金が増えない
バブル景気(1985〜91)崩壊後、日本の金利は景気悪化を食い止めるため、一貫して下落傾向が続いています。さらに、2013年にはアベノミクスの一環で大規模な金融緩和(お金を世の中にたくさん出回らせること)が導入されました。その後押しをするために、2016年にはマイナス金利政策が実施されるにいたりました。
2019年6月27日現在の主要銀行の利率は、スーパー定期1年~10年で0.010%。仮に100万円を5年間、半年複利で運用する商品に預け入れたとすると、5年後の税引き前利息はわずかに500円、税引き後は399円にすぎません。399円といえば、菓子パンを2個買えば吹っ飛んでしまうくらいの金額です。
それにもかかわらず、なぜか日本人はお金の運用先と言えば、銀行くらいしかないと決めつけています。思うに、1970~80年代の高度成長期の「10年で預入額が倍になる」7%金利の印象が強烈に残っているためでしょう。
この記事を読んでいるみなさんは、その時代のことを直接ご存知ないと思いますが(筆者もです)、親御さん世代がそのころの恩恵を受けていたことから、お金は銀行に預けておくものというのが常識として刷り込まれてしまっているのではないでしょうか。
ちなみに、100万円を5年間、年利7%で半年複利で回すと、5年後の税引き前利息は41万598円、税引き後利息は32万7千186円にもなります。現在の金利で運用した場合との差額は、
32万7千186円−399円=32万6千787円
今の時代は、銀行に入れっぱなしにしておくのが、いかにもったいないことなのか、これでおわかりいただけることでしょう。
運用好きな人の間でよく知られている「72の法則」という簡単な計算式があります。72を複利の利回りで割ると、何年間で投資金額が2倍になるかを簡単に算出できるというものです。たとえば5%複利の場合は、
72÷5=14.4
つまり、14.4年で投資資金が倍になるということ。7%複利だと、
72÷7≒10.2
10年ちょっとで2倍です。これが1970~80年代の高度成長期の金利です。元本保証で10年で倍になるのですから、かつての日本では預貯金で運用するというのは、まったくもって正しい選択だったのです。
では、現在のスーパー定期の金利(0.010%)では、2倍になるまでに何年かかるのでしょうか。
72÷0.010=7200
なんと、7200年もかかってしまいます。長生きをしないとダメですね……。今は、それくらいの低金利になってしまっているということです。
「元本保証以外の金融商品はリスクが高い」と思い込んでいる人が多いですが、筆者に言わせれば「元本保証にとらわれているほうがよほどリスクが高い」と感じます。なぜならば、インフレが起きてしまうと、元本が保証されていたとしても、せっかく貯めたお金の価値がどんどん下がってしまうからです。
元本保証にしがみつくことなく、リスクを軽減しながらインフレに負けない運用成果が得られる金融商品への投資をしていくことが大切なのではないでしょうか。
石田 昇吾
クライサー税理士法人 代表税理士
株式会社TAXプラス 代表取締役
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